【東リベ】早く起きろよ、バーカ【真一郎】

30 ページ30

「ねえ！お姉ちゃんはウチのもう一人のお兄ちゃんの事、覚えてるよね！？」


「え、何急に」


「覚えてる！？」





カウンターを挟んで迫り来るエマ。


突然あたしの仕事先に来たかと思えば、イザナの事。


覚えてるも何も、今どこで何してんだか。


イザナのやつ。





「覚えてるけど？忘れるわけないでしょ。それがどうかしたの」


「マイキーったら酷いんだよ！何度も言ったのに！知らないって！忘れてたの！！」


「万次郎はそんなもんでしょ。人の話聞いてるようで、全然聞いてないんだから」


「そうだけどーーー！！」


「ほら、カフェラテ。あともう少しで休憩入れるから、そこの席で待ってな」


「はぁーい」





店長の妹さんですか？可愛いですね、なんてバイト君に声をかけられて笑う。


まあ可愛いのは事実だしね。


え？妹バカ？好きに言ってな。





「で？イザナがどうしたって？」


「うーんとね」





先に休憩ごめんねとバイト君に声をかけ、エマの元へ。


イザナとはもう随分会ってない。


今どこで何をしているのか。


前に一度、真一郎のお見舞いに来たみたいだけど。


看護師さんに聞いた。


名前は名乗らなかったらしいけど、多分イザナだと思う。





「そう……イザナが…」


「うん」


「はぁーーーーー。困ったな……」





深いため息を吐く。


正直、イザナとはやり合って欲しくない。


これからマイキーが作った東卍と、イザナが作った天竺と言うチームがぶつかり合うらしい。


二人にはぶつかり合って欲しくないと言うのが、あたしと真一郎の願いである。


出来れば兄と弟、仲良くしてもらいたい。





「お姉ちゃんは真兄ぃと何度かイザナお兄ちゃんに会いに行ってたんだよね？」


「ん？ああ…まあね。何度もって言うか、うん。会ってた」





エマにお兄ちゃんがいるって知って。


その子が施設に居ると聞いて。


真一郎と二人で会いに行った。





「イザナとは色々あってね……。真一郎の事もあるし、もう二年は会ってないかな」


「そっか…」


「まさかチーム作ってたとは……。ま、考えれば当然の事か」





とてもデリケートな問題だった。


簡単に解決できる様な、そんな生易しい話ではなく。





「これからどうなるんだろ……。ウチ、心配だよ」


「……なんとか、しないとね」

31→←29

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す