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ふと目が覚めた時、視界に真っ先に入ってきたのは病室の天井。
そして嗅ぎ慣れた病院独特の匂いから、自分が今、病院にいる事に気がついた。
生きてる……?
銃で撃たれたのに。
もしかしてあれは夢だった?
目をぱちくりさせながら、そんな考えが頭によぎった。
「A」
「……真一郎…」
「ったく……心配かけさせやがって」
「……あんたにだけは、言われたくないんだけど…?」
名前を呼ばれて、視線を横に向けると、そこには真一郎の姿が。
そしてあたしを力一杯、抱きしめてくれた。
ああ、よかった。
生きてる。
真一郎の熱を服越しに感じる。
じわりと目尻に涙が浮かび、あたしはバレないようにそっと拭って、あたしは真一郎に言った。
「…エマは?」
「隣で寝てる。まだ目覚めてねえけど、大丈夫だ」
「そっか」
銃で撃たれて、病院に運ばれて。
ケン坊や圭介の事、とやかく言えなくなっちゃった。
「万次郎と、イザナは…?」
「ここにいるよ。A」
「オレも…」
声がした方に視線を向けると、エマが寝ているベッドの脇に、万次郎とイザナの姿があった。
「仲直り、できた?」
「うん」
「ん゛、んん…」
「A」
起きあがろうとするあたしに手を貸してくれる真一郎。
ビリッ、と背中の方に電撃が走る様な感覚。
その痛みで、やはり撃たれたのは現実だったんだと理解した。
痛む所を抑えて痛みに耐えていると、真一郎が言った。
「まだ傷が塞がってねえんだ。いきなり動くと開くかもしれねえから、無茶はするなよ」
「うん……。万次郎と、イザナと、真一郎。三人が一緒にいる光景、初めて見た」
「!……だな」
「エマが目を覚ましたら、驚くよ。みんな一緒にいるんだもん」
もしかしたら、真一郎みたいになってしまうんじゃ。
そんな恐怖を他所に、エマはその数時間後、無事に目を覚ましてくれた。
「あれ……ウチ」
「「「エマ!!」」」
「しん…にぃ?………ゆめ?」
「夢じゃねえよ。ごめんなエマ、心配かけて」
まだ目覚めたばかりでぽんやりとした意識のエマ。
「エマ!!」
「……ケン、ちゃん?」
「この………っ、心配かけさせやがって!!ぐすっ」
病室の外でずっとエマの目が覚めるのを待っていたケン坊。
二人は両思いなんだから、さっさとくっつけよ、ってね。
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ピアノ - 完結おめでとうございます!もう、真兄推しの私にとったら泣けて最高のお話でした!これからも頑張ってください! (2021年10月10日 10時) (レス) @page49 id: 68f7274f2c (このIDを非表示/違反報告)
ルイにゃ - 完結おめでとうございます とても泣ける話でした (2021年9月29日 18時) (レス) @page49 id: c326ad8a0b (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - 完結おめでとうございます!これまでに無いハッピーエンドです....真一郎くんが起きた時はもう...全私が喜びましたwこの作品に出会えて良かったです^^* (2021年9月29日 3時) (レス) @page49 id: 849fa7e773 (このIDを非表示/違反報告)
ワカメと昆布って似てね? - 完結、おめでとうございます!原作が辛くて辛くて仕方なかったけど、この作品に出会えて本当よかったです!2人の結婚式とか結婚式のスピーチのお話が見たいです!できればでよろしいので書いてもらえたら嬉しいです! (2021年9月28日 22時) (レス) @page49 id: 293adefca4 (このIDを非表示/違反報告)
43(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白くて、一気に見ちゃいました!幸せそうな夢主ちゃんを見れてよかったです!! (2021年9月28日 16時) (レス) @page49 id: abf6fd2177 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴんぞろ | 作成日時:2021年9月15日 0時