【東リベ】早く起きろよ、バーカ【真一郎】

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あれから2年が経った。


あたしは変わらずカフェでバイトしてる。


変わったのはあれだ。


ただのバイトが店長になったくらい。


2年経って、ついに店を任されてしまった。





「店長って結婚とかしてるんですか？」


「んー？」


「左手に指輪、してるんで」


「あー。まあ……したっていうか、これから？と言うか」


「え、マジっすか！」





おめでとうございます。


とバイトくんに言われ、ありがと。と返す。


結婚する予定の相手はいるけど。


まあ真一郎、まだ目覚ましてないんだけどね。


仕事が終わった後は、持ち帰り用のコーヒーを持って病院に行って、真一郎と会う。


話すのはなんて事ない、その日あった事。


月に一度は必ず万次郎やエマ、ケン坊に圭介たちがやって来る。


静かよりも騒がしい方がいい。


煩えよお前らって。


そのうち起きるんじゃないかって期待してる。





「もうあたしら25だよ。20代折り返し。後半スタート」





つい先日、真一郎は25歳になった。


あたしももう少しで25歳になる。


周りの人達がもういい加減、新しい恋をしなよと言ってくる。


そんなのは大きなお世話だと突っぱねる。


いつ起きるかわからない。


もしかしたらずっと目覚めないかもしれない。


なのに待つの？


いつまで待つつもり？


なんてほんと大きなお世話。





「にしてもホンットに起きねえなオイ」





ぐにっ、と寝ている真一郎の頬をつねる。


痛えよって目を覚ますかな、なんて。





「起きるわけない……か」





期待してる自分と、がっかりしてる自分。





「ほんと、早く起きてよ。真一郎」





伸びた髪をさらりと触る。


2年間の間に伸びた髪はかなり長く、そろそろ切ってやろうかな、なんて。


万次郎とケン坊、あと圭介辺りに手伝わせようかなと考えながら、あたしは真一郎の髪の毛をくりくりと弄る。


ﾊﾞﾝﾌﾞｰｰｰｰｰｰｯ





「この音……」





遠くの方からバイクの排気音が聞こえ、それは段々近づいてくるのが分かった。


この音は間違いなく万次郎のバブだ。


こんな時間に来るなんて珍しい。


いつもは昼間に来てるのに。


そう言えば、今日はやたらとバイクの音が多く聞こえていた気がする。


マナーモードにしていた携帯がポケットの中で震えた。





「エマ……？」


《お姉ちゃんッ！ドラケンが……っ！！》

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