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「何の用?A」


「……一虎」





1対1。


喧嘩になったら私は多分死ぬ。


だって弱いし。


よくて大怪我。


けど信じる。


一虎を。


繋がるかどうか分からないも分からない、携帯に登録されていた前の電話番号に連絡したら、繋がった。


会って話がしたいと呼び出したら、一虎は来てくれた。





「聞いたよ」


「何を?」


「圭介が東卍抜けて、芭流覇羅に行ったって。今、一虎も芭流覇羅にいるんでしょ?芭流覇羅は東卍の敵だって聞いた。抗争、起きるの?みんなと戦うの?」


「当たり前じゃん」


「私ね、あの事件の後、みんなと距離置いたの。圭介以外。マイキーやドラケン、三ツ谷やパーちんとか、エマとも連絡取ってない」





みんなと距離を取ったのは怖かったから。


会いたくなかったわけじゃない。


一虎は何も言わない。


私は一人で話し続ける。


考え直して欲しい。


私が何言ったって無駄かもしれない。


けど、前の一虎に戻って欲しいんだよ。





「ねえ、一虎」


「何?」


「一虎は一体、何がしたいの……?」





私がそう聞くと、一虎は一言。





「マイキーを殺す。ただそれだけだ」


「殺すって……。ダメだよ」


「Aはいいよな。いつも場地が側にいて」


「?」


「オレのそばには誰も居ない」


「そんな事ない。みんな居るよ」


「そんな事あるさ。みんな居なくなった。お前も」


「あたしはっ!」


「邪魔するやつは殺す。誰であろうと。A、お前でも」





一虎の言葉にゾッとした。


目の前にいる一虎は、私が知ってる一虎じゃない。


二年前、みんなでバカみたいな事で笑いあってたあの時の一虎じゃない。


下手な事を言ったら殺される。


そんな風に考えてしまうほど怖かった。





「二年間、オレは塀の中で一人ぼっちだった。その間、マイキーたちは何してた?」


「それは……」


「どうせオレの事なんて忘れて遊び呆けてたんだろ?」


「……」


「ずっと寄り添ってくれたのは場地だけだ」





思い出したくなくて、記憶に蓋をしてた。


けど圭介はずっと向き合ってた。


私は逃げてた。


それが一虎を苦しめてるとも知らず。


ごめん一虎。


私、最低だ。

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お稲荷大好き(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう一回最初から見直してきます笑笑 (2021年8月27日 23時) (レス) id: 215b62667e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴんぞろ | 作成日時:2021年8月20日 0時

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