【東リベ】守るためにつく嘘【場地】 (ページ30)

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「まさか立て続けにウェディングドレスとタキシード仕立てるハメになるとは思ってなかったわ」

そう話す三ツ谷に苦笑いで返す私。

「ごめん三ツ谷。忙しいのに……」

「いいって。お前らの結婚式、最初からオレが仕立てるつもりだったし。むしろ遅いくらいだったわ。タケミっちとヒナちゃんに先越されるとか遅すぎだろ」

「そうかな？」

「一番最初に結婚すると思ってたのにのんびりしやがって……。ま、お前ららしいと言えばらしいか」

私の採寸は終わって、今は圭介の番。

私たちは三ツ谷の作業場にお邪魔していた。

結婚式で着るウェディングドレスとタキシードの採寸の為。

「三ツ谷ぁ、もういいかぁ？」

「まだ。動くなよ場地」

「めちゃくちゃ真剣ね」

「当たり前だろうが」

結婚式はやるつもりなかったんだけど、周りのみんながやれって煩くて。

一番煩かったのが一虎で、その次に千冬。

やらないと仕事しませんって二人揃って言うもんだから、やるって言っちゃった。

「式の予定は？」

「まだ決めてないの。やるって事しか……。籍入れただけ」

「そう言うとこルーズだよな……」

「ぶっちゃけどこから手出したらいいのか分かんなくて」

「とりあえず二人で式場行ってこいよ。まず話はそれからだろ」

「そっかー」

「そっかーって他人みたいな…。お前ら二人の話なんだからな」

「なんか結婚したって言っても、あんまり実感湧かなくて。いつも一緒だし、特に何かが変わるわけでもないからさ」

「だろうな」

圭介に結婚してくれって言われて、私が結婚しよっかって言った次の日。

私たちは早々に役所に行って、婚姻届をその場で書いて提出した。

お店は午前中臨時休業。

保証人には一虎と千冬になってもらった。

実は部屋に戻ったと思ってた一虎が、実はリビングで話してた私たちの話をこっそり聞いてたらしく、千冬にビデオ通話でリアルタイムで中継してたらしい。

朝一番に千冬がやって来て、役所行きますよ！ハンコ持ってってください！！

って言われて、二人してハテナ浮かべたっけ。

行動早すぎって言ったら、遅いくらいですって怒られた。

「場地さん、佳奈さん。おめでとうございます」

書類を窓口に提出したら千冬にそう言われて、私たちは顔を見合わせて言った。

「ありがとな、千冬ぅ」

「ありがと、千冬」