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その日の夕方。


そろそろ閉店の時間になるという頃、店のドアが開いた。


あいつだ。


オレは場地に目配せする。





「こんばんは、Aさん」


「ああ、佐伯さん。こんばんは」


「仕事終わりに走って来ちゃいました」





スーツを着た男はAにうっとりとした表情で話しかける。


閉店30分前。


佐伯と言う男は週末の仕事終わりにやって来る。


やっぱりどっからどう見てもA狙いじゃねえか。


A見てヘラヘラしやがって。


ぶん殴ってやろうかと思ったが、務所を出た時Aにもう暴力はふらないって約束した。


それに千冬にめちゃくちゃ怒られる。





「決まりました?どの子にするか」


「その事なんですけど……。Aさんにお話がありまして」


「?何ですか?」





まさかコイツ、この流れでAに告白する気じゃねえだろうな!?


最初は一人暮らしが寂しいからペットを飼おうと思って。


みたいな相談をしに来たやつだった。


それがいつしかそんな流れになりやがって。


オレは慌てた。


千冬を見ると千冬も同じような顔をしてた。


恐ろしくて場地の方は見れなかった。





「あの………Aさんっ!!」


「はい?」


「け、結婚を前提に、僕とお付き合いしていただけませんかっ!?!」





なーーーーーー!?!!


オレと千冬の心の中の声はそんな感じ。


AはAできょとんとしている。


Aはああ見えて天然な所もある。


佐伯とか言う男の好意にも気づいてなかったし、まさかこの流れで告白をされるとは思ってなかったんだろう。





「おれ、動物に対して真剣な眼差しで関わってるAさんに惚れました。おれ、ただのしがないサラリーマンですけど、Aさんのこと、一生懸命幸せに……」





男がそこまでいいかけたところで、オレの目の前を場地が横切って行った。


まずい。


今このまま場地を行かせたら。


ふと頭によぎったペットショップで暴行事件の文字。


せっかくオレが我慢してるってのに、それを無駄にする気か場地!!


それは千冬も同じだったらしく、二人で場地を止めようとした時には遅かった。





「こいつはオレんだ」


「圭介……」





Aを抱き寄せ、男を睨みつける場地の姿。


男のオレが見てもカッコいいって思えるほど、場地はカッコよかった。





「ワリィがこいつだけは渡せねえ」

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お稲荷大好き(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう一回最初から見直してきます笑笑 (2021年8月27日 23時) (レス) id: 215b62667e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴんぞろ | 作成日時:2021年8月20日 0時

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