【東リベ】守るためにつく嘘【場地】 (ページ12)

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「千冬くん、ごめんね」

「え？」

「フラれちゃったの……。あたし」

「！？」

「圭介にとってあたしって、ただの鬱陶しいやつだったんだ。昨日、圭介に会って言ったの。好きだって。そしたら……」

「そんなわけないっス！！」

「？」

「場地さんは……Aさんのこと、大好きですよ！！だって……だって！場地さんがAさんの話する時、いっつも笑ってたし、すげー優しそうな顔してて……それなのに、そんなわけないじゃないっすか！！」

場地さん、Aさんのこと大好きで大好きで、面と向かって素直に言えねえって。

千冬くんが話す圭介は私の知らない圭介で。

男ってのは惚れた女の前じゃ強がりたいし、カッコよく見せたいんですって。

千冬くんはそう語ってくれた。

「お願いします！場地さんを、信じてあげてください！！」

そう言って千冬くんは私に向かって頭を下げた。

「たぶん、Aさんを巻き込みたくなくて。Aさんは、一虎との事も知ってる。もし場地さんの身に何かあったら、一虎のとこに行くんじゃないかって。そんな事になったら、Aさんの身も危ない。そう思って場地さん、ワザとAさんの事フッて、遠ざけたかったんだと思います」

「！」

「場地さんをよく知ってるAさんだからこそ、Aさんならそうするって、場地さん……そう思ったんじゃないっすかね。Aさんが場地さんの事をよく知ってるように、場地さんもAさんの事、よく知ってるんすよ」

そう言うと千冬くんは行ってきます。

と出て行った。

家に残った私は一人で考えた。

私の家庭は父子家庭で、父の職業は医者で、家にいる事はほとんどない。

だから私は幼馴染である圭介の所に入り浸る事が多くて。

ガチャリと音を立てて開けた玄関。

圭介の家だ。

圭介の部屋に入ると、ハンガーにかけられた東卍の特攻服があった。

「ちゃんとハンガーにかけてある……。やっぱり圭介は……」

大事な特攻服その辺に投げない！ハンガーかける！！

そう圭介によく言ってたっけ。

ふと机の上にあった写真立てに目が行った。

そこにはみんなで海に行った写真や、私のわがままで撮ったゲーセンのプリクラとかがあった。

「圭介、私、信じるよ……。ごめん。信じてあげられなくて」

私はハンガーから圭介の特攻服を取り、袖に腕を通した。