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「お前には色々と迷惑かけちまったな。ワリィ」
ぽんっ、と私の頭の上に手を置く圭介。
圭介はやっぱり圭介だ。
「ぐすっ…」
「オレの事はもう忘れろ」
「はあ?」
「オレの事も、一虎の事も。東卍も。全部」
「何それ……。忘れられるわけないじゃん!!何でそんな事言うの!?」
「いいから忘れろ。その方がお前のためだ」
「自分勝手もいい加減にしてよ……あたしの為?どう言う意味?」
圭介の物言いにカチンと来て、私は怒った。
全部忘れろなんていきなりすぎるし、酷すぎるでしょ。
「何で?あたし、圭介の事好きなの!ちっちゃい時からずーっと!それなのに、なんでそんな酷いこと言うのよ!?忘れろって、忘れられるわけないじゃない!!」
圭介の胸をドンッと叩く。
ボロボロと涙が溢れ出てきて、何が何だかわかんなくなってきて。
泣きたいわけじゃないのに。
私は圭介に喧嘩をして欲しくなくて、止めたいだけなのに。
「オレはお前の事、好きでもなんでもねえよ」
「!」
「昔からずっとただの幼馴染で、邪魔なのにいつも付きまとってくるうぜーやつ。ただそれだけだ」
「…………」
ショックだった。
そんな風に思われてた事が。
だって、ずっと、ずっと……。
「だからもう、オレに関わんな」
そう言うと、圭介、いや、場地は私の肩を押し退けて歩いて行った。
私はぺたんとその場に座り込んで泣いた。
通行人が泣いてる私を見てどうしたの?と声をかけてきてくれたけど、私はただ泣く事しか出来なくて、その日はずっと泣いた。
どうやってその日、家に帰ったのかわからなかった。
気付いたら次の日になってて。
朝、ピンポーンとチャイムが鳴った。
出る気になれなくて、頭から布団をかぶった。
「Aさん、オレです。千冬です」
訪ねてきたのは千冬くんだった。
「これから、場地さん……東卍と芭流覇羅との抗争が始まります。場所は町外れの廃車場です。オレは場地さんを何としてでも東卍に連れ戻します!だから………だから、Aさんも、場地さんのこと、信じて待っててください」
「…………」
信じて待ってて。か。
信じてた。ずっと。
だけどもう。
「あっ…Aさん」
私は布団を出て、玄関の扉を開けた。
もう私、どうしたらいいのか分かんないよ。
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お稲荷大好き(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう一回最初から見直してきます笑笑 (2021年8月27日 23時) (レス) id: 215b62667e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴんぞろ | 作成日時:2021年8月20日 0時