【東リベ】守るためにつく嘘【場地】 (ページ1)

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「ねえ場地ぃ」

「あ？」

いつからだろう。

圭介の事を"圭介"と呼ばなくなったのは。

昔は圭介、たまにはけーちゃんなんてふざけて呼んでたのに。

中学に上がってしばらくして、友達になった女の子から場地くんと仲良いね、付き合ってるの？なんて揶揄われて、恥ずかしくなって、場地呼びになったんだっけ。

「まぁーた喧嘩したでしょ」

「ゔっ。し、してねーよ」

「嘘こくなぁ。昨日ゴキ(バイク)で出てったの知ってんだかんね」

「チッ。バレてんならしょーがねえな。お袋には言うなよ」

「いや、言わなくたって気づいてるでしょーよ。バカじゃん。あ、元からバカか」

「んだとぅ！？」

「あはは！」

圭介はいわゆる不良と言うやつで。

東京卍會と言う暴走族のチームに入ってる。

暴走族と言っても、別にカツアゲとかそう言う、みみっちいセコイ感じのやつじゃなくて、ちゃんと筋の通ったチームだと私は思ってる。

と言うのも、東京卍會、通称・東卍の総長を務める佐野万次郎こと、通称・マイキー(どこが通称なのって感じだけど)とはこれまた幼馴染で。

マイキーがトップを務める東卍だからこそ、信頼できてる部分が強いんだけどね。

「てかさ、最近おかしくない？場地さあ、妙によそよそしいって言うか。家にも来るなって言うし。まあ来るなって言われても行くけど。おばさんにあんたの面倒頼まれてるし」

「あ？」

「家じゃフツーだけど、外だとなんかピリピリしてない？ダイジョーブ？なんかあった？」

「……別になんでもねえよ」

「困ってることがあるならさ、あたしで力になれるかどうかわかんないけど、相談してよ。話すだけでも楽になれる事って、あるだろうし」

「おー」

「ちゃんと聞けよー。コノヤロウ」

なんて笑い合ってたのはつい最近まで。

ふとした拍子に見せる圭介の表情は、何か思い悩んでいるような、抱え込んでいるような、そんな感じで。

それからしばらくしてだ。

家を訪ねても圭介はいなくて、私の家に圭介の後輩だと名乗る、松野千冬と言う子がやって来たのは。