モトカノ依存症【吉沢亮】 (ページ16)

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episode16 ページ16

彼女を最後に見かけた時
あの日からずっと思い出す彼女の姿は卒業式の彼女で

今どんな姿をしているか知らない

SNSで探そうと思えば見つかるんだと思う
付き合ってた時から彼女がSNSが好きなのは知っていたし、共通の友人もいる

きっと彼女のことだから恋人ぐらいいる
物静かだけど放っておけないところもあったし

ミカ:あ、今彼女いんの？

式が終わり、ちらほらと帰る人もいる中で会場の外で昔話に耽る
その流れで今付き合っている彼女がいることを話す機会があった

神木:なんだー確かに亮SNSやってないから分かんないや
『…まあ。』

彼女とは付き合ってもうすぐ半年になる
言われてみれば1年以上彼女がいなかった為二人は心配していたそうだ

ミカ:ならよかった。ちゃんと吹っ切れてるなら。

ミカが溜息を一つつき笑みを浮かべる
名前こそ出さないものの何やら気がかりなことがあるような口ぶりで

ミカ:言ってなかったけど亮と別れた後にあの子にSNSフォローされたんだよね。正直、気持ち悪いって思ったけど

多分、気を遣われていたんだと思う
ミカにも「彼女」にも。

ミカ:別れようって言った時に彼女、分かったって一言返信した時どんな気持ちだったんだろうね

「バレンタインデーのチョコ、いる？」

最後に彼女のほうから送られたメッセージだった
先月行けなかった映画はなかったことにされて

多分他のカップルなら
“チョコ期待していてね”なんて送るんだと思う

この頃は殆ど彼女とSNSでやりとりしていなくて一週間ぶりとかに送られたメッセージがこれ

彼女が「彼女」として送った最後のメッセージで
1年前に彼女が勇気を出してくれたバレンタインデーとはまるで別もののようで

『別れよう』

自分のことしか考えられなかった俺は彼女にそう告げた
直接彼女の顔を見て言うことなんて出来なかった
泣いてる彼女を見れば罪悪感に蝕まれそうで言えなかった

初めから、彼女は大切なことは全部直接伝えてくれたのに

あの不格好なクッキーも
手紙も、デートも

彼女にとっては全部全部、大切なものだったかもしれないのに

どんな顔で別れの言葉に同意したんだろう

ミカ:今の彼女のこと本気かどうか知らないけど、別れ話の前に彼女に言わなきゃいけないことあったんじゃない？

『…ちょっと待ってて。』

・

“A？どうしたの？”

「……別れた。吉沢君と。」