◇ 12 ページ13
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「 おれは⋯⋯巨人を駆逐してこの狭い壁内の世界を出たら、⋯外の世界を探検するんだ 」
彼の言う "外の世界" とはどんなものなのか私には分からない。巨人のいない世界？自然が広がる世界？そのどれにも当てはまるとは思えないけど。
そして始まる殴り合い。周りも盛り上がるせいで余計それが加速する。
「 忘れたのかジャン！？エレンの対人格闘成績は今期のトップだぞ！」
ライナーが叫んで、エレンがトドメの1発をジャンに食らわせようとしたその時⋯突然エレンの体が宙に浮いた。
ある程度重さのあるエレンの体を軽々と持ち上げたのはミカサだった。ミカサはそのまま食堂の外へと出ていった。
「 アンタも調査兵団希望だったわね 」
『 うん 』
「 じゃーもうお別れってわけだ 」
『 寂しい？』
「 ⋯⋯別に 」
騒がしい食堂の中、隣に座ってるアニと話を交わす。
相変わらずの素直じゃない態度に笑いながらも、少しは寂しいと思ってくれてんだって嬉しくなる。
『 私は寂しいよ？憲兵団と調査兵じゃなかなか会うことも出来なくなるし 』
「 ⋯そうね 」
そう口にすればもっと寂しさが増したような気がする。
『 アニはさ、なんで憲兵団に入りたかったの？』
「 ⋯⋯ 」
『 私の教えたんだから、最後ぐらいアニの本当の理由も聞かせてよね 』
以前同じ質問をしたとき、アニは「自分が助かりたいだけ」と言った。
だけどその答えが私には本当の理由だとは思えなかった。
自分の身を案ずるなら別に駐屯兵団でも良かったはず。なのにどうして、そこまで憲兵団にこだわるのか知りたい。
「 言いたくない 」
『 アニ、』
「 それを言ったらアンタは⋯⋯、っ 」
それに続く言葉は出てこない。でもアニは見たことないぐらい苦しそうな表情で、
『 もーわかったわかった！じゃあ今は言わなくていいよ。でもいつかは絶対教えてね？』
思わず私は自分で話を逸らした。
それなのに晩餐会が終わるまでアニはどこかずっと苦しそうな顔をしていて、それがすごく頭にこびりついた。
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作者名：ぴの
| 作成日時：2023年11月12日 20時
