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『 ⋯⋯しんどい⋯ 』
「 休みなしでやるって言ったのはアンタだからね 」
約束通りアニに格闘術を教えてもらって、気づけばオレンジ色の夕日が出てきていた。
『 でもちょっとは強くなった？』
「 なったんじゃない？」
『 へへ、教えてくれてありがと 』
「 ⋯⋯別に 」
アニの訓練はかなり過酷で全身がヒリヒリしてる。
「 なんでそこまでして強くなりたいわけ 」
『 んー⋯⋯ある人に追いつくため、かな 』
昔も今も守られる側なのには変わりなくて。でもそれが私にとってはずっと引っかかってる。
リヴァイに守られる人はたくさんいるだろうけど、リヴァイのことを守ってくれる人はいるのかって。
「 追いつくって何のために？」
『 守られてばっかりだから、恩返しがしたいの 』
「 ⋯優しいんだねアンタって 」
『 優しいのはアニもでしょ？』
私がそう言うと、アニは少し驚いたように目を開く。
いつも1人で居るし、極度に人と関わろうとしてなさそうに見えて冷たい人なのかなって思ってたけど「教えて」って言ったら面倒くさがりながらも丁寧に1から教えてくれて。
「強いね」って言ったら少し照れくさそうにそっぽを向いて「別に」って言ったり。素直じゃないだけなんだと思う。
『 「教えて」って言われて教えてくれる時点でもう優しいよ 』
「 ⋯優しいの基準が低すぎるんじゃない？」
『 ううん、そんなことない。教えてもらってる時も含めて思ったの 』
「 ⋯⋯そ 」
ほら今だって発する言葉は冷たいけど、表情を見れば褒められることに慣れてないだけなんだって分かる。
『 アニかわいい 』
「 はっ？」
『 褒めただけで照れてるのかわいい 』
「 照れてなんか⋯！」
話せば話すほどアニの知らなかった一面が知れて嬉しくなる。
『 耳赤いけど、』
「 赤くない 」
『 あ、また赤くなった。かわいい 』
「 あーもう、うっさい！かわいいって言うの禁止 」
『 なんで！』
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作者名：ぴの
| 作成日時：2023年11月12日 20時
