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「チャニョン、行くよ」
『うぅ』
チャニョンはその図体を小さくして私の後ろにピッタリとくっつく。私の首元でチャニョンのふわふわとした髪の毛が動く気配がして、どんだけ怖がってんだ…と少し冷静になった。
どうやら廃病院がコンセプトらしく、至る所にボロボロのナース服や腕が散らばっていて、正直めちゃくちゃ怖い。
めちゃくちゃ怖い、んだけど
『ヌナ、ヌナ』
「はい」
背後にピッタリとくっついて耳元で喋るチャニョンに気が気ではなかった。
近……
「ヴァー!!!!!」
「うおっ」『ヒィイイィ』
幽霊に扮した学生が、私たちを驚かしてくる。
その演技力、迫真感、まるで映画の一部分に私たちがいるみたいだった。
にしても、うおっ、って……。
あまりにも可愛くない自分の驚いた時の声に、自分でもショックを受けるなどする。
どんどんと進んでいくにつれ、チャニョンはどんどんと私にくっついてくるから、こっちの方が心臓もたないし。
驚かしてくる幽霊たちはそんなピッタリとくっついている(しかも大男が女性に)姿を見て少し気まずそうにしていた。
チャニョンのシャンプーの香りが私の鼻の奥をくすぐる。
私と同じ、シャンプーの匂い。
なのになんで、こんなに胸を苦しくさせるの?
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作者名:天然水 | 作成日時:2024年2月18日 23時