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2:ふたり分の愛情。 ページ2

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「いってらっしゃい。」









そしてもう私が宏光の帰りを待つことも
おかえりと声をかけることも無い









部屋に残る宏光の匂いがいつも以上に
強く感じて









まだ弱虫な私は
またポロポロと涙を零す









「こんなに泣き虫なママでごめんね。」









言葉にすれば、余計実感が湧いて
お腹に手を当てれば







まだ授かったばかりの小さな命が
もう既に愛おしすぎた






この子は私ひとりで守っていくんだ。



だから強くならなくちゃいけない。









この子はお父さんの顔も名前も知らないまま
生きていくことになる



そしてそれは、お父さんに自分の存在を
知られないまま育つということで






そんな時、辛くさせてしまわないように
私がふたり分の愛情を注いで




大事に育てていくから。



宏光は これからも自分の夢を追いかけてね。





もっともっと輝いて
沢山の人の光になれるように







私、離れていても宏光のことを
ずっと応援していくから









そして何も言わず出ていく私を



いつか許して欲しい



なんの相談もなくこの決断をした私を



いつか許して欲しい










すぐに、荷物をまとめて部屋を出る準備をする。





半同棲状態だったこの部屋に

私のものが増えていく度に、




宏光と同じ時間を共用できてるんだって

いちいち嬉しかったのを覚えてる。









お風呂からあがると


お互い同じシャンプーの香りがしたり、






どちらかが眠りにつくと


眠気が移って結局二人で一緒に寝てたり









沢山思い出がありすぎて



これから辛いことが沢山あっても



宏光と過ごした日々を思い返せば



なんでも頑張れそうな気がする。









玄関に飾ってある写真。




今年の春、夜中に少しだけ一緒に桜を
見に行った時に2人で撮った。




外で写真を撮るなんて滅多になくて



だからこそ



笑顔で写る2人のこの写真は私にとって宝物。









宏光には申し訳ないけど、




私が持っていってもいいかな・・・




どうしてもこの写真だけは欲しい。









宏光との日々をいつでも思い出せるように。









宏光がくれた合鍵もちゃんと返して、




私は今日これから




1人で生きていくんだ




決心が鈍らないうちに




宏光から離れるって決めたんだ。

3:選択。→←1:エンドロール。



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むむそ(プロフ) - 難しいお話かもしれませんがとっても好きなお話です…!更新楽しみにしております…!! (2023年4月7日 21時) (レス) @page21 id: 4e14cc707d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴの。 | 作成日時:2022年12月24日 6時

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