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1:エンドロール。 ページ1

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「おやすみ。」









いつも通り、私の大好きな声で

優しく頭を撫でながら額にキスを落とし
眠りにつく宏光を見るのも、



これで最後なんだって思うと


やっぱり悲しくて寂しくて辛くって








一気に込み上げる涙は、


到底止めることなんてできなくて







眠りにつくのが早いタイプでよかったって


宏光の寝顔を見ながら安心したんだ。









無防備な寝顔を誰よりも近くで見れる
彼女という特権も何もかも


私は明日、捨てなければならない








愛おしすぎておかしくなりそうなくらい
宏光のことが好きな感情も




忘れられるように
努力していかなければならない




本当は無理だって分かりきってても


大丈夫なフリして生きていくよ。









「・・・おはよ。」









寝起きの掠れた声。


その声が聞けるのも今日で最後なんだね。
目を擦りながら眠たそうにまたあくびして





いちいち最後だって思うとキリがないし

また泣いてしまいそうだ。









「・・・なんか目赤くない?」







「そうかな?宏光今日も仕事でしょ。
朝ごはん作ってあるから起きよう?」







「んー、」









怠そうに身体を起こしながら
私をぎゅっと抱き締めた。









「・・・っ、」









駄目だ、私。






堪えることなんてできないよ。





宏光の匂いが、
体温が優しさが痛いほど伝わってくる。









「ほら、やっぱりなんかあったんだろ。」









ぶわっと溢れた涙に躊躇うことなく

分かりきった顔で、
私の涙を拭うから






一緒に居た時間が
頭の中でエンドロールのように流れ出して




心がぎゅうっと痛めつけられて
もう麻痺してしまいそう。




「ごめんね、本当なんでもないんだけど
なんかちょっと・・・幸せ過ぎて」


「なんだよそれ、そんなことある?」









流石に誤魔化せないと思ったけど

仕事の時間が迫ってるからって急かして
何とかその場を切り抜けることが出来た









「今日帰ったら、話聞くから
一人で泣くなよ。」








「うん、ありがとう。」









私が作ったご飯を食べたあと、時計を見た宏光は
いつも通り、
焦って帽子とマスクをして









「じゃあ、行ってくるわ!」









笑顔で家を出て行った。

2:ふたり分の愛情。→



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むむそ(プロフ) - 難しいお話かもしれませんがとっても好きなお話です…!更新楽しみにしております…!! (2023年4月7日 21時) (レス) @page21 id: 4e14cc707d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴの。 | 作成日時:2022年12月24日 6時

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