この涙を知らない。 (ページ5)

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０５繰り返し。ページ5

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ソファでスマホを弄りながら、
私に視線も向けてくれない。

今ここで涙をこらえている私に宏光は気づかない。

そんな真剣な顔して何を見てるの？
もしかして、まだ桐乃さんの相談に乗ってるの？

さっきまで会って話してたのに？

一人で寂しいのを我慢して待ってた私を
どうして一度も抱きしめてくれないの？

「･･･。」

｢･･･。｣

途端にこの空気感が苦しくなって私は寝室へ逃げた

そしてまた、私は涙を堪えるんだ

なんで私が･･･こんなに我慢して
涙を堪えなきゃいけないんだろう

本当は私が宏光の腕の中で泣きたいのに。

苦しい、辛い、不安

素直にそう言えたら宏光は私を抱きしめてくれる？

ごめんなって言って私の頭を撫でてくれる？

面倒くさがらずに私の名前を呼んでくれる？

何が正解なのか、もはや分からない
私はかなり不器用で甘えたくても甘え方が分からないし
苦しい時はどうやって頼ればいいか分からないんだ

だから今こうして自分に嫌気がさしてるんだ。

「もう寝る？」

「･･･うん、」

いつの間にかお風呂から上がってきた宏光が

不貞腐れて横になってる私の隣にやってきた

「なに？体調悪いの？」

「ううん」

「元気ないじゃん」

だって、宏光が私に構ってくれないから。

悪気のないその笑顔を見たら
一気に押さえてた感情が溢れ出してきて
ついに私は、宏光の前で泣いてしまった

「どうした？」

心配そうに私を見つめて

宏光はやっとその腕で私を引き寄せてくれた。

大好きな宏光の腕の中に収まることが出来ても
あの子も宏光の前で泣く時は
こうやって宏光に抱きしめてもらってるんじゃないかって

考えたら途端に切なくなって、余計に涙が止まらなくなる。

宏光はそんな私の急な涙に戸惑って

「なんかあった？」

って優しい声で私の涙を指で拭う。

今、宏光の目には私だけが映っているはずなのに

その瞳の奥には･･･
あの子がいるんじゃないかって

宏光に抱きしめられても見つめられても

私の不安な心は消えはしないんだ。

宏光が完全にあの子と離れない限り、
私はきっとこれからも一人で涙を堪えて

宏光の帰りを待って
たまに限界がきてこうして宏光の前で泣いちゃって

きっと、その繰り返しの日々を送ることになる