この涙を知らない。 (ページ13)

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１３答え。ページ13

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「そんな女だって思いたくないから
聞いてんだよ」

「･･･聞かなきゃ分かんないの？」

「･･･A、俺の質問に答えて
桐乃とどんな話した？」

「･･･。」

「あいつを傷つけるような事、
言ったりしてないよな？」

その言葉で、
もう、どうしようもないんだなって思った。

宏光が今心配しているのは、
必死に涙を堪えている私なんかじゃない

一番近くにいるはずの私じゃなかった

「･･･あの子、知ってたよ｣

「え？」

「私と、宏光が付き合ってること」

「･･･それで？」

「それでも、宏光の事が･･･好きなんだって」

「･･･っ、」

「･･･ねえ、私･･･どうしたらいい？」

「･･･A、」

「もう･･･しんどいよ･･･宏光、」

「･･･。」

「早く、言ってよ。」

「･･･。」

「私の事、もう好きじゃないって･･･」

大きな雫が、私の目から零れ落ちて
頬を濡らした。

そしてその涙をなんとも言えない表情で追う宏光。

あれだけ真っ直ぐに向けられていた宏光の視線が私の目から逸れた。

それがもう、
宏光の出した答えだった。

「･･･A、ごめん。」

「やだ･･･やっぱり、言わないで」

「･･･A、」

「そんな風に、呼ばないでよ」

苦しそうに私の名前を呼ぶ、宏光

私の方が、苦しいのに。

私の方が傷ついているのに
申し訳なさそうな目で見ないでよ

自分が惨めで仕方なくなる

どうして、こんなに･･･傷つかなくちゃいけないの？

宏光は私を、
幸せにしてくれるんじゃなかったの？

先に好きだと言ったのは

宏光なのに･･･。