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06 仕事が出来る男。 ページ6

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先輩と同じ会社で働くようになってから
早くも2週間がすぎた。

覚えることは沢山だし、

「ちゃんと寝てる?」

私を気にかけてくれる先輩には胸がいっぱいだし。

「寝てます・・・けど、寝足りないです。」

「んはは、分かるよ。
ちょうど眠い時期なんだよね〜」

「北山さんはちゃんと睡眠とれてます?」

来月に開催されるイベントに向けてバタバタな毎日と
どんどん増えてく残業。

仕事が出来る男!として信頼されてる先輩は
そりゃあ私なんて比にならないくらいの仕事量で。

「意外と寝てるよ、俺。
仕事は持ち帰んないようにしてるしね。」

「・・・流石です。」

「佐藤こそ、仕事覚えるのめっちゃ早いじゃん」

頑張ってんね、と微笑みかけられる。

その笑みが見たくて・・・なんて言ったら
普通に引かれるんだろうな。

まあ、周りに迷惑かけたくなくて必死に頭に叩き込んでるだけなんだけど。

「先輩の教え方がお上手なので」

「あ、今先輩って呼んだ。」

罰金ね?と甘い笑み。

「すみません、まだ呼び慣れてなくて。
それに、先輩が怖いくらいあの頃のままなので、つい。」

「それって俺褒められる?」

「ちょーーー褒めてます。
なので罰金は取り消しでお願いします。」

わざと苦い顔すれば、仕方ないなぁ〜って笑ってくれる。

好きなんだよなあ。
先輩の笑ってる顔。

クシャッとした目尻の皺も、少し顎を引く仕草も
可愛くて愛おしくて。

ほら、やっぱり私は・・・今も、先輩のことを。


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「佐藤さんごめん!取り急ぎのメールだけ返したいから
先に行っててくれる?」

いつも一緒にランチしてくれる松川さんにそう言われ
お腹を空かした私がひとり、向かったのは
ずっと気になってた会社の隣のカフェ。

藤ヶ谷先輩がよくここでコーヒー飲んでるって
北山先輩に聞いてから、そりゃあ毎日会社に出入りする度に
カフェの方へ目を向けて藤ヶ谷先輩の姿を探してた。

まあ、今再会したところで気まずいだけなんだけど。


「・・・・・・・・・Aちゃん?」

「・・・・・・へっ!?」


気まずい再会は、予期せぬタイミングで起こった。

カフェの前に出てる看板メニューに載ってるたまごサンドが美味しそうで、ついジッと見てたら、
今まさに私の頭に浮かんでた人の声が私の名前を呼んだ。

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作者名:ぴの。 | 作成日時:2021年10月3日 15時

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