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18:チワワみたいな目。 ページ18

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北山さんまだかなぁ。
先に下まで降りて待ってるのはいいけど
もう15分が経過しようとしてる。

てっきりすぐ降りてくると思ってたんだけど
もしかして帰る間際に仕事任されて残業コースだったりして?



「佐藤!悪い、急遽今から〇〇に代わって
接待に行かなくちゃいけなくなってさ。」



嫌な勘に限ってよく当たる。
駆け足で私の元へ来た北山さんが申し訳なさそうな顔してる



「全然、大丈夫ですよ。
気をつけて行ってきてくださいね。」

「待たせたのにごめんな。
また絶対美味い寿司連れてくから!」



それだけ言って忙しくその場を去った北山さん。

今から2人でお寿司を食べながら何を話そうかな
なんて、楽しい時間ばかりを想像してたから
一気に虚しくなる。


けど、接待も仕事のうちだもん。仕方ないよね。



肩を落としながら会社を出たら
ポツポツと降り出してきた雨。


天気予報では、一日中晴れだったのに。


なんでこのタイミングで降ってきちゃうかなぁ。




もう既に泣きそうな気分になりながら
近くのコンビニまで小走りしていると





「Aちゃん?」




コンビニの前でピタリと足の動きを止めさせた、その声。

顔を上げれば、やっぱり。





「藤ヶ谷先輩・・・。」

「やっぱり、Aちゃんだ。」





私と目が合って何故か嬉しそうに目を細めた先輩は
広げた傘の中にそっと私を入れてくれた。






「コンビニ行くの?」



雨に濡れたら風邪ひいちゃうよって
変わらず優しい藤ヶ谷先輩にジーンとする。




「傘買おうかなって」

「そっか、それで急いでたんだ。」





引き留めちゃってごめんね?って
私からしたら、傘に入れてもらっちゃって感謝しかない。








「俺、今日車で来てるから送ってくよ。」

「え?でも。」

「あ、それかせっかくだしさ
Aちゃんさえ良ければ ご飯でも行かない?
俺、出張帰りですげーお腹すいててさ。
良かったら、付き合って欲しい。」





チワワみたいな目で見つめられるから
断る理由もなく その場の空気に流されてコクンと頷いてしまった。

19:出木杉君。→←17:トイプードル



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作者名:ぴの。 | 作成日時:2021年10月3日 15時

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