私があなたの彼女です [赤緑]

4限後 ページ28

>明日、4限の後空いてますか



別れてから今まで
ずっと開いていなかったLINEの会話




＞明日、授業の後空いてますか


＞おん、空いてんで

＞Aちゃんからお誘いなんて珍しいやん

＞俺が恋しくなった？


＞話があるんだ

＞授業後、いつもの電信柱で



最後の会話が嫌でも目に入る画面の送信ボタンを
散々迷った挙句タップしはぁ、とため息をつくと

すぐに既読が付いた



＞Aちゃん

＞まだ俺の連絡先持っててくれたんやね

＞うれしい


＞空いてますか


＞そんな焦らんでも答えるって

＞空いてるよ

＞てか、空ける



会話の内容はさておき
空いていてひとまずほっとした


まぁ、普段なぜか私の授業終わりに
教室の外で待っている日を選んだから

空いてない訳ないんだけど。



＞話があるんだ

＞4限後、中庭で



1年前私が別れを告げた日と同じように
嫌な予感がしたのか

小瀧くんからは既読が付いたまま返事が来なかった






「気ぃつけるんやで、ほんまに」

「うんうん分かってる」


「ほんまにやで？！」

「分かってるって！本当神ちゃんお母さんみたい」



翌日、いよいよ決着の日


3限と4限は神ちゃんともしげとも別の授業だから
しげがお昼ご飯のゴミを捨てに行っている隙をついて

神ちゃんがまた釘を刺しに来た



少し強い口調で大丈夫、と言い張ると
眉をハの字にして口をムッとさせる神ちゃん



「ヨォお待たせ！あれ、何でこんなびみょーぉな空気なん」


そこで戻ってきたしげ



「ううん、何もないよ」

「ただあれやねん、Aがまた課題忘れたー言うから」



「あ、そーれはAちゃんが悪いやつやな」


しげに肩近くの腕をピンッと軽くデコピンされ

今度は今の痛みを癒そうとするかのように
同じ場所にそっと手のひらを当てて軽くさすられる



「じゃあー俺行くわ、教室遠いし」


そんな光景から目を逸らすかのように
目線を下に向けながら言った神ちゃんは

パッと一瞬しげと私と目を合わせ
気ぃつけるんやで、と私にはもう1度目線で言ってからいなくなった



「うーし、俺らもそろそろ行くかぁ」

「うん、また夜家でね」



うむ、と口を一文字に結んだしげは
ぽんっと私の肩に手を置いてから

指ですっと私の顔周りの髪の毛を直してから授業へ向かった



私はそんなしげを
姿が見えなくなるまで見送った






「おーい、Aちゃん」


4限後、まだ少し冷たさの残る春風に吹かれ
中庭のベンチで待っていると

すらっとした高身長によく似合うコートを羽織った
小瀧くんが手を振りながら現れた

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