カラフルクリスマス [JW] 短編集 2

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淳太くんっぽい、革で出来たキーケース

出した時に私のことを少し思い出してくれたらいいな、なんて
あの男の子より少し不純な理由で買った


よし、これを送ってあげよう。



家に帰ったら昨日適当に片付けた物を
きちんと仕舞い直して家事をちゃんとやってから

買っておいた食材を並べ睨めっこ



…こうなったら普通の料理にするのも癪だし
いっそのこと全部予定通り作るか。


そう思った私は食材を全部使って
2人前のクリスマスディナーを完成させた

これから何日か温め直して食べればいい話よね。



シャンパンを1人で開けるのは流石に抵抗があったけど
シラフのまま1人でクリスマスディナーを食べるのも虚しいから

クリスマスの曲をかけて安いワインを開けた



お風呂にもゆっくりと浸かって

いつもは面倒臭くてやらないケアをしてみたり
少しお高めのパックを使ってみたり。



何だ、案外1人きりのクリスマスも悪くないかもしれない。

そう思いつついつも通りハーブティーを淹れてソファーに腰掛けた



…のが、間違いだった。



ちょうど目線の先には浮かれ気分だった過去の私が出した

大学時代のクリスマス
イルミネーションの前で淳太くんと撮った写真



あーあ、もう。折角忘れかけてたのにな。


そんな時にピコン、とスマホを鳴らした相手を見て
さらに胸が苦しくなる



＞今仕事終わりました

＞サミシマスやわ笑



こっちだって寂しいよ、鈍感くんめ。



＞お疲れ様、クリスマスに大変だね


＞ほんま俺かサンタさんくらいやと思う、こんな忙しいの笑

＞今時間ある？



＞大丈夫


そう送った瞬間に電話がかかってくる



「…もしもし」

「あー寒っ！今ちょうど泊まる所に帰る所やから
ちょっと付き合ってくれへん？」


「うん、いいよ」

「ありがと。…はぁ。イブやな」


「あと何分かでクリスマスだよ」

「ほんまごめんな、今日行かれへんくて」


「…大丈夫」



「…Aさ、ほんまに大丈夫？」


「え？」



「会われへんくて、ほんまに大丈夫やった？」


「…まぁ、会えたら嬉しかったけど」



「遠慮とかなしでも？」


それは、と反論しようとしたけど図星で何も言えない





「俺は会いたいけどなぁ。Aに」





その一言でぷつん、と何かが切れた


「…ずるいよ」



「ん？」


「本当にずるい。そんなの、そんなの…」




「そんなの？」


いつもの何倍も優しくてやわらかい声
それに促されるように絞り出した




「…会いたいに、決まってるじゃん」




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