〜人肌恋しい季節〜 ページ7
「エヘン。あー、あー」
咳払いしてからしばらく使っていなかった声帯を温める
意を決して通話ボタンを押し
なるべく可愛い、でも落ち着いた声を出した
「もしもし？」
少し掠れちゃったけど、出だし好調。
「もしもし。中間です」
大好きなやわらかくて優しい声が耳に伝わる
でも、少し疲れてそうだな。
「中間です、って笑」
「ああ…ごめん、職業病みたいなやつかも笑」
淳太です、と言い直して照れ臭そうに笑うから
さっきまで寂しさで冷たかった心がじわじわと温まっていく
「…A、です」
「ふふ、知ってる笑」
「どうしたの？淳太くん」
「んー何か声聞きたくなって。今大丈夫やった？」
「全然大丈夫」
「何してたん？」
「えっとね、お風呂入ってお茶淹れた所」
「あーあの美味しいお茶ね。ちゃんと髪乾かした？」
「うん、乾かしたよ。
淳太くんがいつも風邪引かないようにって言うから笑」
まだかな、まだかなという気持ちを抑えるために
ソファーの上で体操座りして膝をぎゅっと抱える
「そか。あと探すの面倒臭いからって毛布出さないのはあかんで？」
「何で出してないって分かったの！？」
「ん？何でやろなぁ笑
春そっち行った時あそこの引き出しに仕舞ってたで」
「待ってね、えっと…あ、あった」
「ならそれちゃんとかけて」
「うん、今くるまった」
スンスン、と息を吸うと微かに香る懐かしい匂い
「何してるん？笑」
「ちょっとだけね、淳太くんの匂いがする」
「はは、可愛い笑」
ドキッとするような言葉を放ってから
淳太くんはふぅ、と息を吐いた
「ごめんな、明日行かれへんくなって」
その一言に背筋を伸ばし
きた、と身構える
「ううん、全然大丈夫」
「ほんま突然出張入ったからさ。最悪やわ」
「お仕事大変そうだもんね。疲れた声してる」
「んーちょっと忙しいかな。そっちは？仕事」
「別にいつも通りって感じかな」
「そっか。無理したらあかんで」
「それは淳太くんだよ笑」
「たしかに笑」
はぁ、とため息をつく淳太くん
「…会いたかったな、明日」
そろそろ寒いだろうし入ってくればいいのに。
そんなことは到底言える訳もなく
自然な会話の流れを意識する
「まあでもほら、すぐ会えるよ。
明日も会社でしょ？寝た方がいいんじゃない？」
「せやな。お言葉に甘えさせてもらうわ」
「じゃあ…おやすみ、淳太くん」
「おん、おやすみA。ほんまごめんな」
電話はぷちっと切れた
.
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てでぃー(プロフ) - アップルパイさん» こちらにまでありがとうございますー！両方とも読んでいただけてとっても嬉しいです。またクリスマスが近づいてきた頃にぜひ思い出してやってください！ (2019年3月24日 2時) (
レス) id: ebc728ddf8 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ - とってもいいお話でした！ (2019年3月23日 15時) (レス) id: ae68382578 (このIDを非表示/違反報告)
てでぃー(プロフ) - ゆうひさん» いえいえ！気になっていただけただけで嬉しいですよ。最後はもはや若干寄せましたよね笑 締め方に迷っていた時にタイトルを先に考えていたらふと閃きまして笑 (2018年12月24日 0時) (レス) id: ebc728ddf8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - てでぃーさん» あ 、ほんとだ 。ちゃんと読めてなくてごめんなさい !! まつりちゃんの台詞とか 、合いすぎてて … 笑 (2018年12月23日 23時) (レス) id: da02c26587 (このIDを非表示/違反報告)
てでぃー(プロフ) - ゆうひさん» こんばんは！『作者より』にも記載したのですが、最後に曲名だけタイトルとして借りたので一応無関係です…が、今考えてみたら意外と歌詞に当てはまってますね！そう考えて頂いても構いません！笑 適当なことをしてすいません…笑 (2018年12月23日 22時) (レス) id: ebc728ddf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てでぃー
| 作成日時：2018年12月9日 0時
