カラフルクリスマス [JW] 短編集 2

Orange Magic ページ22

とある広くはないマンションの一室

キッチンからリビングが見えるように作られた窓からは

大きなダンボールが1つと
透明の箱に入った無数のカラフルな飾り



そして

4歳になった娘のまつりと、私が永遠の愛を誓った人。


旦那の照史くんは箱を全て出し終えパンパンと手を叩いた後
よいしょ、と屈みまつりと目を合わせた



「まつり、これなーんだ」

「クリスマスツリー！」


「そう正解！じゃあまつりも大きくなったし
今年はパパと一緒に飾り付けしよか！」

「いいの！？」


「おぉええよ。サンタさんに喜んでもらえるように頑張ろな？」

「うんっ！」



照史くんがツリーを立て終え
冬なのに額に少し滲んだ汗を拭くと

パチパチパチ、とまつりが手を叩くから
私もキッチンから出て手を叩きながらリビングへ



「ちょ、Aまで何やねん！やめろアホぉ！笑」



最初は顔の前で手を振り照れていた照史くんだけど

最後はくるくるっと頭上で手を回したのを腰元に下ろし
ちょこん、と小さなお辞儀をした



「ママみて！パパがツリーたててくれた！」

「本当だすごいねぇ。まつりも飾り付け頑張ってね？」


うん！と返事をしオーナメントをじっと見比べているから
照史くんにそっと用意しておいたタオルを渡すと



「やっぱバレた？笑」

「冬に汗かくって笑」


「しゃあないやん代謝ええねんもん笑」

「ツリー楽しそうだね？」


「Aもやる？」

「ううん、夕飯準備あるから。出来上がり楽しみにしてる」



「ん、さんきゅ」


タオルを首にかけながらキラッと一瞬笑顔を向けられるだけで
胸の中が幸せで一杯になる




まだ結婚してない時はスキンシップや甘い言葉でこそ
愛を確かめ合う物だと思っていたけど

結婚した今はこんな些細なことでこそ愛を感じるな、なんて。




「おーしまつり！ママもびっくりさせよな！
…って、もう始めとるやんけ笑」


うーん、と考え込んだり目をキラキラと輝かせながら
ゆっくりとオーナメントをツリーに飾るまつりを

たまに声をかけたり手を貸したりしながらも
基本は後ろから見ている照史くんの大きな背中がキッチンから見える




「パパお星さま！」

「パパがやるん？」


「ううんあたし！」

「まつりがやるんやな？よっしゃ」



よいしょー！と掛け声をかけながら脇の所で持ち上げると
まつりは慎重に星をツリーのてっぺんに飾る



「できた！」

「おっすごいやん完成ー！」


照史くんはそのまま何回か高い高いをし
ぐるぐるとまつりを回してからぎゅっと抱きしめた

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