カラフルクリスマス [JW] 短編集 2

〜青いマフラー〜 ページ2

「礼！」


さよならー、と間延びした挨拶をすると
嬉しそうに教室を飛び出す生徒達


あっという間に1日が終わり明日からいよいよ冬休み



ワクワクした気持ちを抑えつつ
自然に上がってくる口角を隠しながら荷物をまとめる



「Aー」

「あ、流星」


教室を横切りのんびり歩いて来た流星の方を見ると
ちょうど視界に友達が割り込んで来た



「A帰ろ！」

「準備遅っ笑」

「私バイトあるんだからー笑」



「ごめんごめん笑 その前にえっと、流星？」

「ん！？」



「どうしたの？」


友達の後ろで少し悲しそうに俯いて
その場から立ち去ろうとしていた流星に声をかけると

友達も振り返る



「や、まぁ…ね。もし誰もおらんかったら、そのー
一緒に？まぁ、帰ろかなーって思ってん、けど。
何か、先約あるみたいやし。また今度、ってことで」

「あー…そうだね。まぁどっちみち家隣だし、別に一緒に帰らなく」



「ああっ！ごめん私急用思い出した！」

「え？」



「あっ私も今日買い物頼まれてる！」

「あ、バイト！急がなきゃ！」

「ってことでごめんA！」


突然慌て出してバタバタと帰って行った友達を
私と流星は唖然と見送った



「…何だったんだろ今の」

「…さぁ。A今日何かある？」


「ううん、ないよ」

「じゃー久々に一緒に帰らへん？」



「うん。帰ろ」


流星はホッとしたように笑った






「寒っ」


校舎の外に出ると吐いた息が白くなるほど寒くて
思わずそう呟くけど流星は何も言わないから横目で確認する



「流星は？寒くない？」

「…寒くない」


「嘘だ、上着てないじゃん」

「今朝寝坊して着忘れた…かもしれへん笑」


「また寝坊？いつになったら起きれるの？」

「へへ、オカンと同じこと言うてる笑」



「笑ってる場合じゃないでしょ！んー…あ、これ」


どうしようか迷った挙句
巻いていた青いマフラーを外して流星に差し出す



「え、ええよ寒いやろ」

「私コートあるし。風邪引いたら大変でしょ？」



ほら！と背伸びして流星の首にマフラーをかけると
大人しく私が巻きやすいように少し首を下げる



「うん。いい感じ」

「ありがと。めっちゃ温かなった」


目を瞑り大きく息を吸ってはぁ、と息を吐き頬を緩める流星




「何？」


「ん？Aの匂いやなーって」




そう言って目を細める流星に

胸の奥がじんわり温かくなった気がした




「これもしかして、俺が昔クリスマスあげたやつ？」


マフラーを両手で少し引っ張りながら聞かれる




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