カフェホリック男子 [桃]

鬼と憑霊 ページ6

動揺が隠せず突っ立っていると



「…僕何か悪いことしました？」


私の顔を伺う小瀧望



「あっいえ！こちらへどうぞ！」


なるべくカウンターから離れた奥のボックス席へ誘導すると
小瀧望は鞄を置きメニューを開いた



絶望した顔でカウンターに戻ると中間さんに笑われる



「今の子、Aちゃんの学校の制服やんな？」

「はい、何なら同じクラスです…」


「覚えられてないん？」

「顔はまだ…」


「どうやらあんま仲良しではないみたいやな？笑」

「何でよりにもよって今日…」



「すいませーん」


奥から声がして中間さんが私を見る



「中間さん…」

「これも仕事。いってき」



渋々カウンターを出ようとすると


「Aちゃん？笑顔」



鬼。

無理やり笑顔を作るとちょっと笑い
満足げに頷く中間さんを確認してから

小瀧望からの注文を取りに行った



「お待たせしました、ご注文は」

「カフェラテと…本日のケーキって何すか？」


「本日はショートケーキです」

「へぇ…美味そ。ほなそれお願いします」



「かしこまりました。すぐお持ち致します」


マニュアル通り一礼するとやわらかく微笑む小瀧望




あれ？クズでもチャラくもない。

首を捻りつつ中間さんにカフェラテを頼み
私はケーキを渡しに


小瀧望はスマホをいじってたけど
私が来るとパッと顔を上げた



「お待たせしました」

「わぁ！美味そ」


俺ケーキ好きなんすよ、と笑う彼は
学校の時の取っつきにくいイメージは一切ない



どうしたんだ？普段は霊でも憑いてるの？
それとも今が憑いてる状態？

分からない。



モヤモヤしたまま机を拭いたりお会計をしたり
お冷を注ぎ足したりしていると

中間さんから呼び出しが



「Aちゃん、今大分混んで来て席余裕あらへんから
1人でボックス座っとる方とかカウンターに移動でけへんかな？」

「それって…」



まさか、と奥の席に目をやる


「サービスしてええから。頼むわ」

「はい…」



また話さないといけないじゃん…

憂鬱な気持ちになりながらも
重い足を引きずり奥の席へ向かう



「あの、すいません…」

「はい？」


「店内混んで来てしまいまして大変お手数ですが…」

「あ、席移動する感じすか？」



やばい、やばいぞ。

突っかかられるやつか？



「大変申し訳ありません…
コーヒーの方少しサービスさせていただくので」

「え、全然大丈夫すよ！どこ行けばええすか？」



「あ、じゃあこちらのカウンターへ…」


戸惑う私には気付かず手早く荷物をまとめる小瀧望

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