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カウンター隅に残されてしまった俺と宮田さん。
人見知りな俺にとっては高難易度なシチュエーションである。
とりあえず目の前のグラスを傾けて、甘酸っぱいそれを一口。
・・・ふぅ。
何か話した方がいいのかと思い付く限り話題を挙げている最中に話しかけられた。
「松村くんさ、カクテル言葉って知ってる?」
『?・・・初めて聞きました』
「ふふ、カクテルにも花言葉みたいにさ、それぞれに意味が込められてるんだよね」
俺が飲んでいるこれにも?ふとグラスを手に取る。
「松村くんにオススメしたのは、アプリコットフィズってカクテル。カクテル言葉は・・・振り向いてください」
『え・・・』
「間違ってたら申し訳ないんだけど・・・なんとなくモモちゃんのこと大切に想ってくれてるんだろうなってのが伝わってきてさ」
職業柄、そういう事に敏感になっちゃってと目尻を下げる宮田さんは物腰も笑顔も柔らかい。
「モモちゃんには気付かれないように名前は伏せてお出ししました。本当は一言添えるのがバーテンダーの仕事なんだけどね、はは」
『・・・見立て通りです。すごいです、ね・・・』
「褒めてくれるの?はは、ありがとう!松村くん・・・素敵な人を好きになったね。本当にモモちゃん、いい子だからさ。俺、応援してる!」
『・・・あ、ありがとうございます』
カクテルだけではなくてそれに込められた言葉も嗜むってすげぇ大人だなぁと単純にそう思った。
そうすると素朴な疑問がひとつ。
『あの・・・』
「ん?」
『Aさんが頼んだこれにも、カクテル言葉があるんですか?』
赤いチェリーがきらりと映えるそのカクテル。
あぁ・・・と宮田さんが少し言葉を濁す。
「あるんだけど・・・モモちゃんがこれを頼む時って大抵「ほんとにさぁ、太輔過保護すぎて困るんだけど・・・」
宮田さんの言葉の続きを聞けないままAさんが戻ってきた。藤ヶ谷さんに少しだけご立腹のようで。
「それはガヤさんがモモちゃんのこと心配だからでしょ?分かってるくせに」
「それはそうだけど・・・」
宮田さんの言葉がごもっともすぎるのか、ちょっとだけムスッとしてる顔は新鮮だった。宮田さんにも心許してるんだなぁ・・・と俯瞰的にそう思った。
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月妃(プロフ) - yuuuuuukaさん» そう言って頂いて私の方がテンション上がってます!!!私の中で年下という設定を1番大切に書いているつもりなのでその感想、泣いて喜んでます!ももほく、これからもよろしくお願いします(^^)更新も頑張ります! (2021年1月18日 2時) (レス) id: 9fa29a3ce2 (このIDを非表示/違反報告)
yuuuuuuka(プロフ) - とても大好きな作品で更新されてるたびにテンションが上がります!!北斗くんの年下男の子感も、ももちゃんも可愛すぎます^ ^最後まで楽しみにしてます。お忙しいと思いますが更新頑張って下さい。 (2021年1月17日 21時) (レス) id: 8fc0637993 (このIDを非表示/違反報告)
月妃(プロフ) - kaaaaaa0615さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!本日1話up予定です!これからもお付き合い頂けると幸いです(^^)北斗くん共々よろしくお願いいたします! (2021年1月17日 8時) (レス) id: 9fa29a3ce2 (このIDを非表示/違反報告)
kaaaaaa0615(プロフ) - とても大好きな作品で、毎回楽しみながら読ませて頂いてます!更新頑張ってください! (2021年1月16日 23時) (レス) id: 34bbe03f6c (このIDを非表示/違反報告)
月妃(プロフ) - もふもふさん» ありがとうございます!そう言って頂けて本当に嬉しいです!!年上モモちゃんに振り回される優等生わんこの北斗くんをこれからもよろしくお願いします(^^)更新頑張ります! (2020年12月19日 3時) (レス) id: 9fa29a3ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月妃 | 作成日時:2020年10月17日 19時