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聞こえたのは安室さんの慌てた声。
その声にハッとするものの、今の体制を立て直すほどの運動神経は、持ち合わせていない。
ただただ重力に従って倒れていく。
あぁ、私は今年もこのイケメンの前でこけるのね。それだけが今の私にはっきりと理解できて、そのまま後ろへ倒れこむ。
と思いきや、グイッと前から引っ張られてボスっと前の何かに倒れ込んだ。
『………あれ。痛くない…?』
「はぁ。毎回あなたには手を焼かされますね…」
『………』
「………」
『………』
「………」
『……えっ!?はっ!?あ、あ、安室さん!?』
「気づくの遅くないですか」
倒れ込んだのは安室さんの腕の中。
何が起こったかを理解するのに時間がかかり、やっとのことで頭が働きだす。
『…だって、一瞬で色々なことが起こりすぎて頭の処理が追いつかなくて……。しかも、安室さんが助けてくれるなんて、夢にも思ってなかったので…』
「…僕だって、助けられる時は助けることくらいしますよ。僕をなんだと思ってるんですか」
『J Kのことが大好きな年齢詐欺師のベビーフェイスロリコンイケメン』
「はっ倒すぞコラ」
『……言えって言ったのは安室さ「は?」……ゴメンナサイ』
地獄の底から湧き上がるような声を出す安室さん。
…誰よこの男。めっちゃ怖いわよ。
いつものポアロでニコニコしている安室さんと同一人物なんて、考えられないわよ。
でも、とりあえず、今はそれはいいとして。
…何。これは何。
どうしてこのイケメンは、私を抱きしめたまま離さないのよ。
口では物騒なことを言ってるのに。
どうして。本当にどうして。
なんで、逆にくっついてくるのよ。
やめてよ無理よ。
心臓の音がバレるじゃない。
しかも、こんなところを女子高生に見られたら、今度こそ私が刺されるわよ。
『安室さん、離れてください。もうこけないですから』
「……」
『安室さん。…聞いてます?』
「……」
『安室さん!』
「……Aさん」
『離れてください何ですか』
さらにぎゅっと抱きしめる安室さん。
えっ待ってダメよそれは。痛い痛い。
離れてって言ったのになぜ抱きしめるの。
力強すぎよ。骨折れる。
「何か香水つけてます?」
『は?つけてないですけど…』
「……そうですか」
『…安室さん離れて。本気で痛い』
「ん」
『いやいや、“ん”って何ですか。力弱めるんじゃなくて離れてって言いましたよね?聞いてます?』
「聞いてません」
『いや、絶対聞いてるだろ』
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はりねずみ。(プロフ) - 由羅さん» 神だなんてもったいないお言葉です……!ありがとうございます! (2020年3月15日 17時) (レス) id: f57cf1299c (このIDを非表示/違反報告)
由羅(プロフ) - 神、神ですね……神としかいいようがないです (2020年3月10日 14時) (レス) id: a829207c12 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - 笑々さん» ありがとうございます!!笑っていただけて嬉しいです!私自身、そんな感じの会話が大好きなので、安室さんたちにもやってもらいました笑 ありがとうございます! (2019年10月10日 23時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)
笑々(プロフ) - 名前を呼ばせるところで、早すぎだろなんか腹立つな は声をあげて笑いました笑 ありがとうございます笑 (2019年9月23日 10時) (レス) id: f052978bd7 (このIDを非表示/違反報告)
はりねずみ。(プロフ) - ここねさん» きゃー!ありがとうございます!!とても!すごく!本当に嬉しいです!!続編でも面白さとキュンキュンを追求してお話を進めれるように頑張りますね!これからもよろしくお願いします! (2019年5月12日 17時) (レス) id: 2649fb9203 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はりねずみ。 | 作成日時:2018年12月12日 7時