縁の庭【北信介】 (ページ8)

今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:17,793 hit

. ページ8

.

おばあちゃんとふたりで家にいる間、
おばあちゃんはいろんなことを教えてくれます

「正しいことをしていれば、必ず報われるで。神さんは、どこにでもおるからな」

「いつも誰かが見とるよ、だからな、
こうやってな、ちゃあんとやるんやで」

そういえばおばあちゃんや信ちゃんは、
毎日毎日家の掃除、片付け、洗濯など
嫌な顔ひとつせず欠かさずちゃんとやっていて

でもそれは私が来る前から、
ずっとずっと続けてきたものなのだと、
ふたりを見てれば
子狐のわたしでも分かるのです

一日、一日を丁寧に積み重ねるように

清く、正しく、美しく。

ふたりは、そういう雰囲気を纏っているように
見えるのです

わたしも「ちゃんと」やれば、
いつか信ちゃんやおばあちゃんのような、
立派なにんげん…、いえ、狐になれるかな

「廊下の掃除が終わったら、
信ちゃんの布団取り込むにいこな。
今日もいい天気や、きっとお日様の
ええ匂いがするやろなぁ」

お日様の匂いは、死んだダニの匂いだって
おばあちゃんは知っているのかな

わたしも代わりに、
おばあちゃんに教えたかったけど

おばあちゃんがにこにこして
しきりに頷いていたので、

それはちょっとやめにしました