【孤爪研磨】恐い怖い症。

8. ページ8

「ていうか、研磨がHR中に手上げて保健室行くなんてよく言えたな」



黒尾先輩がケラケラ笑いながら『なんか良いことあったのか?』と研磨をからかう。



対して研磨は『クロには関係ないでしょ』とばっさり切り捨てる。



やはり黒尾先輩といる時の研磨は辛辣だ。






今は、私が黒尾先輩に慣れるのを兼ねて雑談をしている。



黒尾先輩がかなりフレンドリーな性格だったおかげで、すぐに馴れ合うことが出来た。



すごく話し上手で、会話をしていてもまったく飽きない。



こんな良い人を紹介してくれた研磨には感謝だけじゃ物足りない位だ。


もちろん黒尾先輩にも感謝している。




「そうだ、A」




「は、はい!」




突然、黒尾先輩に名前を呼ばれ、私は慌てて返事をする。





「バレー部のマネージャー、やってくれねーか?」




「マネージャー、ですか」




「ウチの部、マネいなくてドリンクとかタオルは一年の仕事だったんだが、さすがにちと厳しいなって話になって候補探してたんだよ」



研磨は黒尾先輩の話に賛同するように頷く。




「あれ、研磨もバレー部?」



「うん、言ってなかったけ?」



言ってませんね。


初耳です。




そっか。


ということは、去年まで研磨がドリンクとかタオルしてたってことか。



大変そうだ。



研磨と黒尾先輩には色々お礼したいし、まず一つ目の恩返しということで。




「私でよければ、やります」





「おー! ありがとな!」



私の言葉に黒尾先輩は歓喜の声をあげる。


すっごい嬉しそうな顔で。




研磨も『ありがとね』と言って微笑んでいる。






今まで、他人と関わることすら出来なかった私が、人の役にたてそうです。

9.→←7.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す