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Aの白くて柔らかい肌に熱風が当たらないよう慎重に髪を乾かしていく。チラリとAの顔を覗くと、気持ち良さそうに目を細めていた。
｢前会ったときよりだいぶ髪伸びたな。もうショートにはせんの？｣
｢せやなぁ、もう就活終わってるし切ろうかとも思ったけど、久しぶりに伸ばそうかなとも思ってて｣
｢迷ってるんよー｣と今度はAが俺の方をチラリと見た。俺は何となく恥ずかしくなって、思わず視線を逸らしてしまう。
｢俺は好きやけどな、Aのショート｣
｢そっか｣
Aはまた前を向いて目を瞑る。
｢じゃあまた短くしようかな｣
｢ええやん｣
｢俺がショートが好きって言ったから？｣と聞けたらどれだけ良いだろうか。聞けていたら何年も片思いを拗らせることもなかっただろうに。
｢だるまくんは、｣
数秒して今度はAが口を開く。
｢……もう髪染めへんの？｣
｢前の方が良かった？｣
｢……私はどんなだるまくんでも好きやけど｣
そう言われてしまえば俺だってどんなAでも好きだ。髪が長かろうが短ろうが、Aであることには変わりない。全部全部大好きだ。しかし、そんなことを口に出す勇気は当然持ち合わせていなかった。
｢でも、黒髪のだるまくんを知ってる人はあんまりおらんから、ちょっと優越感｣
Aは振り返って、真っ正面から視線を向けてくる。完全に視線を囚われてしまい、今度は目を逸らすことができなかった。
｢だるまくんは格好いいからどっちでも似合うよ｣
Aはまた前を向いた。
Aの耳が赤くなっていることに気がついて、形容しがたい羞恥心が喉の奥から込み上げてくる。
それからはドライヤーのスイッチを切るまでお互い無言だったが、決して苦に感じることはなかった。
｢ありがと｣
｢ん、｣
｢だるまくんも早くお風呂入ってきてよ｣
チカ、と視界が一瞬白くなった。他意はないと分かっているが、脳が勝手に“お誘い”のように勘違いしてしまう。
｢次は私がやってあげる｣
本当に他意はないのだろうかと疑ってしまうほど、Aは艶めいた笑みを浮かべた。そう見えてしまうのはきっと俺の邪心のせいだ。Aは単純に今度は私がやってあげる番、と思っているだけだろう。
｢……ん、うん｣
思わず見惚れてしまっていた視線をAから外して、俺は脱衣所に向かった。
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被苦人(プロフ) - 9日さん» 最後まで読んでいただけて本当に嬉しいですありがとうございます！！後日談の方でもよろしくお願いします！！！😚 (2022年8月3日 18時) (
レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
9日 - ハッピーに終わって良かったです😳被苦人さんの小説本当に面白いです！言葉の使い方とか、その人の口調とかがしっかりしているので読みやすいです！後日談楽しみにしています🤧ここまで続けてくれありがとうございましたー❣️ (2022年8月3日 1時) (レス) @page41 id: 1ef4db81f3 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 紫蜘蛛 遊歌さん» 口調などのリアルさだけはこだわってたので、そう言っていただけて本当に嬉しいです！！これからもこの作品をよろしくお願いします！！！ (2022年7月26日 12時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫蜘蛛 遊歌(プロフ) - 良！！！！すぎる！！！！だるまいずごっどがだるまいずごっどしててしてて好きです！！！更新楽しみにしてます！！！ (2022年7月24日 20時) (レス) @page37 id: c815507bb4 (このIDを非表示/違反報告)
被苦人(プロフ) - 瑞稀さん» 夢主ちゃんは最初もっと天然な感じで考えていたのですが、だんだん小悪魔属性になってきてしまいました…笑 これからもこの作品もよろしくお願いします！ (2022年7月15日 14時) (レス) id: 2d39e952a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：被苦人 | 作成日時：2022年6月18日 1時
