幼馴染みCと転校生S【青】【桃】

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あ〜なんなの！渡すものってただの紙(授業で渡し忘れた計算プリント)じゃん！
はやくAのところいかないと…！



どこに行ったのかわからないAを探して、かばんやらジャージやらを持ったまま、気づいたら学校中を走り回っていた

途中で偶然会ったジェルくんに聞いたら、“体育館の方に行った”と教えてくれたので僕は向かった









「はぁ…はぁ…どこにいるの…？」









息を整えながら体育館の中を見渡す
そこではバスケ部がシュートの練習をしていた


本当にこんなとこにいるのかよ…ジェルくん嘘ついたでしょ


もう一回校舎の中を探そうと戻ろうとしたとき、体育館の裏から話し声が聞こえてきた









『その提案絶対のらない』









Aの声…？



僕は声のする方に忍び寄る

そのときだった。









ﾊﾞｼｬﾝｯ









水の音と同時に笑い声が聞こえた

嫌な予感がし、躊躇もなく体育館裏に顔をだした

僕の嫌な予感は的中。そこには空のバケツを持って笑っている女子たちと、水に濡れたAがいた









「ねえ…君たちそこでなにしてるの？」









反射的に口から出た言葉は、自分でもびっくりするほど低かった

おどおどしながら言い訳をする女子3人









「言い訳なんていいから、何してるの？って聞いてんの。さっさと答えてくれないかな」









その言葉を聞いた3人は、Aのことを睨み付けながらその場を立ち去っていった


Aの方に足を進める

下を向いて、ただ足元を見ていた









「…来て」









僕は無意識にAの手をとり、誰もいなそうな保健室に向かった

そして持っていたジャージと体操着を渡すと、素直に受けとった









「僕後ろ向いてるから。ほら、はやく着替えなよ」









後で“もっと他にかける言葉あっただろ…”と自分で自分を責めた





もっとはやくAの異変に気づいていれば、こんなことにはならなかったんだ…
僕は…Aを守れないの…？




後ろでぱさぱさと着替えているであろう音が聞こえてくるなか、僕はそんなことを思っていた

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