佐久早くんって美味しそうだよね【古森元也】

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出せる限りのスピードで追いかける。


え？廊下は走っちゃ駄目？そんなの知るか。




『元也くん！ストップ！』

「え、Aちゃん？」



パシッとその腕を捕まえる。


まさか私が追いかけて来るだなんて思ってもなかったみたい。何で？と顔に書いてある。



『さっきの、誤解、だから』

「佐久早と付き合った？」

『だから、それが、誤解』




ちょっと、こちとら帰宅部なんですよ。

全力疾走した後なので息を整えさせてくれ。




「佐久早に告白されてた、よね」

『違うの、そこから違うんです』

「えっと、どういうこと？」



ちょっと照れ臭いけど、さっきの佐久早くんとのやりとりに至るまでを説明するしかないか。



『えっとね、私が、元也くんのことが好きだっていう確信を得るために、佐久早くんに協力してもらってただけなの』

「……え？」

『その、お恥ずかしい話なのですが、恋愛的な好きが分からなくて。それを相談したら、佐久早くんが自分と元也くんに対する気持ちを比べてみろ、的な感じで…あんなことを言ってくれたんだと思う』

「…なにそれ」



うっ、怒ってらっしゃる？


そうだよね、紛らわしいことすんなって感じだよね。




『なんかもうホント、すみません…』




……愛想つかされてたらどうしよう。




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