佐久早くんって美味しそうだよね【古森元也】

もぐもぐ15 ページ15

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呼び出し事件が起きたあの日から、佐久早くんがちょっとだけ心を開いてくれた、ような気がする。


何を隠そう、無視されることが減ったのだ！



…そう、減ったのだ。


基本は話しかけられたら反応してくれるけど、構いすぎたらシャットアウトされる。


その時はだいたい反省する。



けどまあだいたいまたやらかす。


楽しいから良いのです。

あれ、私ってMだったのかな。



『佐久早くん、おはよー』

「…………はよ」



朝、席に着いたらまず挨拶。


口を開くまでの間がものすごいことになっている。


たぶん、応えるか応えないかで葛藤した末に挨拶を返してくれてるんだと思う。


最終的に返してくれたのでオールオッケーです。




佐久早くんを見てると、何かこう、私の中の悪戯心が顔を出すんだよね。


ついつい構いたくなる…ちょっかいをかけたくなるというか。


誰か分からないかい、この気持ち。



あれ、私って実はSだった？
なんたるデジャヴ。



『ねえ、めちゃくちゃ眠いから次の時間寝てたら起こして』

「は？無理。勝手に寝てろ」

『辛辣…』



案の定、その授業はめちゃくちゃ眠かった。
必死に睡魔と戦っていた。


机の上置いていた手にコツン、と何かが当たって目が覚める。


なんだこれ、紙？
飛んできた方向には佐久早くん。


まさかゴミを寄越しやがったのか。



何てやつだ、と憤っていると、クシャクシャにされた紙の内側に文字が書いてあるのを見つけた。


何となく開いてみると、


"気が散るから俺の視界で寝ないでくれる"



…これはつまり、起こしてくれたという解釈でよろしいか？


言葉自体はなかなか辛辣だけれども。


彼なりに睡魔に負けそうな私を励ましてくれた、ということだろうか。




なんっっだそれ、ツンデレか、ツンデレなのか。


誰得だよ。私得だよ。間違いねえ。




佐久早くんの新たな一面に触れた瞬間だった。


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