佐久早くんって美味しそうだよね【古森元也】

もぐもぐ14 ページ14

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「Aちゃん…その、ありがとね」


だいぶ復活したらしい元也くん。
お礼を言われる理由が正直見当たらないのだが。


好き勝手に言っただけだし。



まあ良いや。受け取れるものは受け取っておこう。


『どういたしまして？』


私の返事を聞いた元也くんが浮かべたのは、蕩けるほどに甘い笑み。


えっ何その顔、初めて見た。


これは見た女の子惚れるわ。その顔の良さ、もっと有効活用していけばいいのに。


などと、どうでもいいことを考えていた。



「…オイ、本気か。これだぞ」

「心配しなくても佐久早には譲らないから」



私を置いてけぼりにして、2人は何やら話している。


その会話が何を表しているのかは分からなかったけど、これだぞって言った瞬間の佐久早くんは私を見ていたので、貶されたことだけは分かる。


『ちょっと、何の話ですか』

「Aちゃんは知らなくて大丈夫だよ、今はまだ」


今は、ということはいつか教えてくれるのだろうか。


…その頃には忘れてそうだなあ。



「俺は知らないからな」


そんな佐久早くんの呟きも意味が分からなかったので聞いてみたけど、彼もまた、その真意を教えてくれることはなかった。



仲間外れですかそうですか。


寂しいとかこれっぽっちも思ってないです。別に。思ってないですとも。


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