佐久早くんって美味しそうだよね【古森元也】

もぐもぐ1 ページ1

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『ねえねえ、佐久早くんって美味しそうだよね』
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新しいクラスにも慣れて来た頃、席替えをした。


隣の席は、佐久早聖臣くん。バレー部の凄い人、らしい。


気難しい人だという噂をよく聞くけど、せっかく隣になったんだ。仲良くなった方が楽しくない？



何事もまずは会話から。コミュニケーションって大事だよね。

何か話題は無いかな…と考えていたら、口から出たのがさっきの台詞。



「…は？」



ｱｯ待って間違えた、やばいやつだこれ。私はどうやらやらかしてしまったらしい。



何がやばいって、佐久早くんの目がやばい。黙れゴミ、みたいな副音声が聞こえる。視線で人殺せそう。



『別に変な意味じゃ…』
「もう話しかけないで」



食い気味に拒否られた。マジか、悲しい。


違うんだよ、佐久早くんって音がサクサクしててクッキーみたいで美味しそうだなって思ったんだよ。



クッキーとかビスケットを連想するよねって意味だったんだよ！！


弁解しようとしたけど、話しかけるなオーラが凄い。そもそも話を聞いてもらえない。全身で私を否定している。



悲しきかな。



何とかして早急に誤解をとかなければ、このままでは隣人から変な人レッテルを貼られてしまう。ぜひともそれは避けたい。


よし、ここは一旦退散だ。
出直そう。




まずは作戦会議だ。


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