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「────実はさ、言ってなかったんだけど俺、綿貫と同じ中学校だったんだぜ?」
『え、そうなん?』
前の座席に腰を下ろした男子生徒は、背もたれを抱えるようにもたれかかり 軽い口調で話題をふってきた。

確かに中学校も孤児院から近くを選んでいたし、恋叶学園からもそう遠くない。
中学が同じという生徒は此処では少なくはないだろう。
だけど、全然気にしていなかったウチにとっては驚きに値する話題である。思わず目を瞬かせ声も少し大きくなってしまった。
慌てて口に手を宛てると、彼はカラカラと歯を見せて笑い それそれ、と声を弾ませた。

「中学の時もさ、綿貫って普段は穏やかだけど驚いたりすると意外と声出るよな」
『そ、そうかな?』
自分では分からない癖なのだろう。実感の湧かない事柄に戸惑いが隠せない。




「………七瀬と付き合ってるってほんと?」
『ッ──』
過敏に肩が揺れる。女子生徒達のように冗談半分で聞かれるのとはわけが違うピリッとした空気。
真剣な目の男子生徒がこちらを見つめていた。

『え、と……』
デリケートなことをこうもストレートに訊かれると、対応に困るものだ。
恋愛に関しては、特に。

素直に“YES”と言えれば終わるのだろうけど、何故かウチの口はそれを拒絶する。
喉の奥に何かが引っかかっているかのように言葉が上手く出てこないのだ。
由唯くんに口止めをしていたわけじゃないから、この前の大暴露で彼を責めるなんてことは出来ない。
むしろ、公言を避けていたウチを察し合わせてくれていた由唯くんに感謝しなきゃいけないのに。

どうも、由唯くんのことになると上手く思考が働いてくれないから、本当に困る。

でも、彼のことで悩むのは──嫌じゃない。


素直になれない自分は嫌だけど……。





├→←自信と勇気、ちょっとの──



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鈴桜(プロフ) - バイクレース勝った〜〜!!おめでとうです。続き頑張って下さい。待ってます。 (2021年10月5日 22時) (レス) @page42 id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - シオンさん» コメント有難うございます、温かく見守って頂けると嬉しいです。 (2021年10月4日 22時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 可愛いです。セツにチュウルやっての可愛さがあります。続き頑張って下さい (2021年10月4日 21時) (レス) @page33 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年9月16日 0時

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