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ぽんぽん…
優しく頭に乗せられる手で、由唯は顔を上げた。
「いいよ―――謝らなくて」
『―――せっちゃん』
「それに―――ほら。ウチは……」
刹那は下を向き、言い難そうに視線を泳がせる。そして―――
「由唯くんの、恋人…だし―――」
『―――……えっ』
ぎゅっ!
言葉よりも先に、身体が動く。
(嬉し過ぎて―――可愛すぎて……やばい)
由唯は人気のない廊下で、刹那を抱きしめた。
刹那に見せられないくらい、自分の顔がにやけているのが分かる。
『せっちゃんが―――可愛すぎて、たべちゃいたい…』
「たっ食べッ?!」
抱きしめていた刹那の、背中に回された彼女の腕に、ぽふぽふと背を叩かれる。
『赤ずきんでしょ?そのコス……』
―――ほら俺、狼男 だし?
「ちっ、ちがうやい!これは吸血鬼伯爵なんだよ!!」
『きゅーけつき はくしゃく?』
きょとんと小首を傾げる由唯。
ずっと、赤ずきんだと思っていた。
確かに、マントは赤くないし、頭巾もないけれど。
『あ――…そっか。じゃ、俺がたべられちゃうのか』
「ほへっ?」
緑の大きな瞳をぱちぱちと瞬きさせる刹那に、由唯は腰をかがめてその眼を見上げた。
『せっちゃんになら―――たべられてもいーよ?』
狼男コスプレの襟口を引っ張り、首筋を見せてにんまりと微笑む由唯に、
刹那は急におどおどとし始める。
「か―――」
『か?』
耳まで紅潮する刹那の表情。慌てているのが分かる―――
可愛すぎて…しかたない。
言いかけた刹那の言葉の続きを、由唯はじっくりと待った。
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鈴桜(プロフ) - バイクレース勝った〜〜!!おめでとうです。続き頑張って下さい。待ってます。 (2021年10月5日 22時) (レス) @page42 id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - シオンさん» コメント有難うございます、温かく見守って頂けると嬉しいです。 (2021年10月4日 22時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 可愛いです。セツにチュウルやっての可愛さがあります。続き頑張って下さい (2021年10月4日 21時) (レス) @page33 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2021年9月16日 0時