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始業式も何事もなく終わり、課題の提出も終わったということで、午前で今日は終了となった。
その帰り、友人に連れられ近くのカフェに押し込まれた。
ドリンクバーを頼み、各々に好きな飲み物を選んで席に座る。
「───で?実際にはどうなの?」
『……と、いいますと?』
目を逸らし、シラを切るも友人は誤魔化してはくれない、
勢いよく立ちあがったかと思うとテーブルを力強く叩き「いい加減白状しなさい!」と声を張った。
「七瀬に告白したのかって話しよ!」
『ちょっ!声がでかいよ』
慌てて彼女の肩を押し無理やり座らせる。
周りに目を走らせだれも気にしていないことを確認し小さく息を吐いた。
「アンタからメッセージが来た時は私、凄く喜んだのよ?」
『喜んだ?』
何故なのか分からず首を傾げると、友人は盛大に息を吐くと頬杖をつき、真剣な目でこちらを見据えた。
「アンタは誰にでも分け隔てなく優しく接する子。
それは利点でもあるけれど、悪く言えば八方美人ね。
要するに、アンタには“特別”がいなかった」
だから
“『──ウチ、由唯くんのことが、好きみたい』”
「初めて、アンタに“特別”が出来たのよ」
それが私じゃないのはちょっと癪だけどね。
おちゃらけるようにウインクする友人に、ウチは込み上げる何かを塞き止めるように襟元を握り口元を噛み締めた。
「初めてだから怖いんでしょ?
気まずくなったら嫌だから言えないんでしょ?
でもね───言葉にしないと分からないことってあると思わない?」
落ち着いた言い聞かせるようなトーンはウチの中に染み込んでいく。
「このまま、うやむやなままでいいの?」
『……よく、ない』
自分の喉じゃないくらい声が出しにくい。
尋問されているような感覚に息が詰まる。
このままじゃダメだってことは分かってる。
由唯くんの優しさに甘えてちゃダメだってことも分かってる。
………でも──「刹那」っ!
名を呼ばれ、俯いていた顔を上げる。
彼女はウチの目を見て微笑み、優しく問いかけた
「刹那は、彼とどうなりたいの?」
どう、なりたい?………
ウチは考えを探し、目が泳がせた。
彼は幾度も「好き」だと言ってくれた。
でもそれはきっと友愛で特別なものではないのかもしれない。
この前まではそれでもいいと思ってた。
それで、彼と近くにいられるなら……でもッ
ウチは唇を噛み締め、込み上げる想いを巡らせた。
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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2021年8月9日 9時