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「千世さんはお料理が得意だそうよ。由唯さんの好みを熱心に聴きにいらして―――きっといい奥さんになるわ、楽しみね」
迎えにきた母の車に乗せられ、後部座席でじっと窓の外を見つめる由唯。
(―――俺の好みなんて、知らないくせに……)
苛立ちを抑えるように、右手首を握りしめた。
同時に、左手首にはめた時計型デバイスに視線を移すが…彼からの返信はない。
玄関ドアを開ける前、由唯は叔父である圭吾にメッセージを送信していた。
刹那に、何かあったかもしれない―――と。
焦りが、心中にうごめく―――冷静で在れ と、自制しようとすればするほど苛立ちが募る。
……くそ―――叔父からの連絡は、まだか……
隣に座る母の視線を避けながら、時計を気にする由唯。
暫く走った車は、大きな門構えがそびえる屋敷の前に着いた。
門前に立つ男達が、運転席後ろの扉に手をかけた時、左手首のデバイスが微かに振動した。
―――刹那は私達で守る。だから、キミはキミのやるべき事を全力で成せ。
「お待ちしておりました―――由唯様」
開けられた扉から、左手首を隠すように手を当てる由唯。
『――――……』
―――お前を 信じていいんだよな?パトロン。
だったら俺は、全力で足掻いてやる……
さぁ、GAMEしようぜ―――須藤
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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2021年8月9日 9時