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綿貫家は代々、医療界において絶大な権威を持っていた。
綿貫に生まれたならば医者になるのは必然。
私も例外ではなく、物心ついた頃から医療に関わることが多く、自然と医学の道を歩いていた。
“綿貫家きっての天才”
そう呼ばれていた時もあった。
しかし、つまづくことなくエリートコースを走ってきた私は、性格に難があり 何度も人間関係で衝突してきた。
決定的になったのはある手術のダブルブッキング事件。
片や政治家の息子、片や花屋の娘。
病院としてのリスクを考えると政治家の息子を優先するが、重症さでいうと花屋の娘が上。
私は医者として花屋の娘を優先し、2人とも救うことが出来た。
のに、政治家の親から責められ責任を求められた。
私はそれに噛みつきメディア問題へと発展。
病院側は私を失脚させることで責任を脱した。
……どうでもよかった。
医療の優先順位も決められない現場など……。
仕事を亡くした私に声をかけたのが“先生”で。
彼女の紹介で“あの人”と出会い触れ合い──海外へ渡った。
いわゆる国境の無い医療行為を生業とする彼の姿に感化され、私は医師を続けることを続けたのだ。
それを、元恋人とはいえ、関係のない彼に教える意味はない。
過去を知るより、今の私を見ていて欲しいから─────。
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作者名：しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2021年8月3日 23時
