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いざ、林間学校へ【刹那side】前編 ページ22




《林間学校》
または林間学舎、林間学習とも云われ、春から秋にかけて山間部や高原の宿泊施設に宿泊し、ハイキングや登山、博物館見学等を行う学校行事の一つで──夏の季語である。


「───いや、夏の季語って今 関係なくない?」
『ありゃ?』
友人から そもそも林間学校とは何ぞやと聞かれ、ウチは人差し指を指揮棒のように振るいながら得意げに力説した…のだが。
どうやら最後の付け足しがお気に召さなかった様子。
冷めた目をこちらに向けていた。


夏休みの数日を使い行われているこの学校行事は生徒にとって過酷ともいえる所謂 修行のようなものだ。
何が楽しくて一番暑いこの時期に山を登らなければならないのか。
暑いし疲れるし焼ける、オマケに虫に刺されるときたら、嫌になるのは文明の利器が当たり前になった今の若者の性だろう。

『そう?ウチは楽しいよ』
例外を除いては。

弟妹が多いからか、幼い頃から外で遊ぶことが多かった。故に暑かろうが寒かろうが虫に刺されようが気にしない。オマケに体力もある。
隠れた野生児なわけなのです。

今だって、初手で体力の切れた友人の手を引いて歩いているけど本人はケロッとしており、とても楽しそうに見える。

『ここはまだ木が多いし陰ってるとこが多いから涼しいなー』
「どこがよ?!」
学校指定のトレーニングウェアの上着を腰に巻き、持参した麦わら帽子を被っている。
友人は可愛くない!と言って持ってこなかったみたいだけど、それのせいか頬が赤みを帯びている。

『相槌打てるからまだ元気だね』
「ぁ”あ”?!─っわぷ!」
振り返り友人の頭に自身の帽子を被せる。
友人が何か言う前に『日焼けしたくなかったら被っててね』と釘を刺す。
押し黙った友人に満足気に微笑み、ウチはまた彼女の手を引いて足を前に出した。


『この調子であと半分 一気に行くよー』
「鬼ぃー!!!」

友人の悲痛な叫び声が森の中を轟き、少し離れた場所で鳥が数羽飛び去った。


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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月3日 23時

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