二十三章 喧嘩 ページ24
帰り道。
「もう開拓地にいられるのも今日までなんだな…」
「とても早かった二年だね…
僕はまだ図書室に読みたい本が
いっぱいあるのに…」
「そしたら…」
「…どうしたんだ?A。」
「ピアノ…」
「あ…ちょっと先行っててくれ。
Aと話したいことがあるから…」
「分かった!」
「迷子にならないように…」
「ならねぇよ」
「A、飯は待ってやらんぞー」
「一人で食べるし」
「行った…な。
…俺たちの前世(仮)は訓練兵団本部から
抜け出してピアノのある小屋に行ったってことになるな」
「そう、だね。」
「変えるとしたらそこしかないぞ。
俺たちが死なないようにするには」
「…私達が前世をひっくり返すために
私はピアノが弾けないの…?」
「そうだな…
お前に聞く。自分とピアノどっちが大事だ?」
「……そんなの聞いて何になるの…
私はピアノが弾きたい。
ピアノが弾きたいけど……
死ぬんでしょ
そしたらエレンだけ生きればいい話。」
「訓練兵団敷地内にピアノがあるかもしれないだろ」
「ある保証がない…
買おうとしても高くて手が出せない…」
「じゃあ諦めて大人しく死ぬか…」
「エレンは…?
私がピアノを弾くために死んでもいいの?」
「それは嫌だ。
はっきり言うが、
俺は巨人を駆逐して海を見たいんだ。
私情を捨てろ。
俺は過去をひっくり返したいんだよ。
お前のピアノなんて……」
エレンは口を塞いだ。
「……っ
エレンって…ずっと優しくて、
頼りがいのある男の子って思ってたけど…
そんなの、もう……
ずっとずっと前のことだったんだね……
あのエレンはどこに行ったの……?
今のエレンは私が望むエレンじゃない
私が一年間側にいたエレンじゃない。
本当のエレンは…
もっと優しくて
あんなことは言わない。
そして…私のピアノを誰よりも楽しそうに
聴いてくれた…!
もう、そんなエレンはいないの?
元のエレンに戻ってよ……」
「口が滑っただけだ……悪い。」
「思ってないくせに……
一年前のエレンはもっと素直だった……
別の道から帰る…
ついてこないで」
言い過ぎたかもしれない。
強く当たりすぎたかもしれない。
エレンが傷ついたかもしれない。
もう話せないかもしれない。
ピアノをもう聴いてくれないかもしれない。
言い過ぎた……
後で謝ろう。
開拓地に着いた後に真っ先に向かったのは
あの小屋。
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音乃@りんな(プロフ) - ありがとううみかちゃん!頑張る!作ったら教えてね~! (2019年8月5日 7時) (レス) id: 6e01838b95 (このIDを非表示/違反報告)
うみか - うみかきたよ!この作品頑張ってね!私もいつか作品作るね。 (2019年8月4日 19時) (レス) id: e2657486e4 (このIDを非表示/違反報告)
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