43. ページ2
そうして2回生の夏、花火大会に行った時に告白されて付き合った。
お互い単位の取りやすい授業を要領よく取り必要最低限しか大学には行かずバイトしてお金を貯め、ディズニーに行ったり、フェスに行ったり、時には友達カップルも含め4人で旅行に行ったりと、それはそれは楽しいキャンパスライフだった。
卒業後、ツトムは大手レコード会社に就職。
就職してからはお互い仕事に追われ、ガラっと付き合い方が変わったけどわたしもツトムも仕事優先!ていう考えだったから波風も経たず、気付いたら8年ものお付き合い。
しかし一昨年の年末。
忘れもしないクリスマスの夜に終わりは突然来た。
ツトムから電話があり、1ヶ月ぶりくらいに声を聞けたと思ったら、
ツ「ごめん、好きな人できたから別れてほしいんやけど」
ツトムと私だったら大丈夫。
心のどこかでそんな自信を持っていたからあまりに突然すぎて、実感が沸かなさすぎて、
A「そっか。わかった」
8年という長い歴史は、あっけなく幕を閉じた。
その頃は仕事がとにかく忙しかったのが不幸中の幸いで。
いろいろ考える余裕もなく、仕事に没頭。
お陰で体調を崩してしまい、年が明けてやっとのんびりする時間ができた時に現実を受け止める。
ぱったりと途絶えたLINE。
2人で一緒に聴いた数え切れないくらいの音楽。
カメラロールに残っている思い出の写真。
お揃いで使っていた香水。
仕事優先でずっと考えてきたと思ってたけど、実はこんなにもツトムが毎日の生活で知らず知らずのうちに大きな存在になっていたんだと気が付いた。
それを知った途端、寂しさがこみ上げてきてこれでもかってくらい泣いた。
なのに合鍵を返しに来た時に、自分の気持ちに素直になれずふざけて、好きな子とどうなんよ?とか聞いちゃったりして。
思えばツトムに対してはずっと強がっていたのかもしれない。
弱いところを見せたくない。
寂しいとか言いたくない。
甘えるとか恥ずかしい。
いつも完璧な自分でいなきゃいけない。
そんな自分を演じていたんだと思った。
しばらくツトムを忘れられなくて1人に慣れず、辛い日々だったけど時間が少しずつ解決していってくれて、やっと立ち直りかけていた5月下旬。
電話の着信画面にうつるのはツトムの名前。
ツ「俺とやり直してくれへん?ホンマに自分勝手やけど、やっぱりAじゃないとアカンわ」
なんでこのタイミングなの?
1470人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「玉森裕太」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:sakura | 作成日時:2018年2月15日 22時