ピアノの先生は王子様 Kei.I

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涼介side









ベッドで寝ている男に向かって、

持ってきた水をぶっかけた伊野尾先生。









当然ベッドは水浸し。









「先生！！ 何されてるんですか！！」

突然の出来事に、保健の先生が大声を出す。









伊野尾先生は空になったバケツを投げ捨て、

水浸しのベッドから、ぐったりした男を引き寄せた。









そして、俺達2人で運ぶのもやっとだった筋肉質の男を、

細身の伊野尾先生は軽々と抱えた。









突然の出来事に、俺達は立ち尽くすだけ。









伊野尾先生はそんな俺達や、

唖然としている保健の先生をよそに、









水にぬれた男を抱えて、保健室を出ていってしまった。









涼介「……」

裕翔「……」









保健室は、まるで嵐の後のようになった。

ベッドから水が滴っている。









ふと裕翔君が、思い出したかのように言った。

裕翔「…そうかわかった！ あのネックレス、伊野尾先生がつけてたやつだ。」









涼介「…そうなのか？」









裕翔「うん、間違いないよ。俺いつも先生の写真、撮ってたからさ。

どおりで見た事あると思った！」









そして、伊野尾先生が男にぶっかけた水。









それが海水だとわかったのは、

2人で水浸しのベッドを掃除している時だった。

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