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音を立てながら氷を満杯に入れたグラスに透明な液体がゆっくり注がれる。
焼酎の独特な香りを感じながら、軽くマドラーでくるりと氷を混ぜるとグラスを店長さんの方へ掲げた。
「店長さん、いただきます！」
「おう！味わって飲めよ！」
焼酎に口をつけると鼻から抜ける芋の独特な香りと辛み。最後は舌に残る自然な甘み。
「うんっまぁ〜！」
「ふっふーん。昨日、新しい芋焼酎を仕入れちゃったぜー！ちょびっとお高めやけど、お値段以上の美味しさってやつよ！」
店長さんがドヤっとしながら私たち3人にボトルを見せる。
鬱先生のお友達さんが店長さんに「ボトル見せてください」とボトルを受け取った。
「……なんか、実演販売みたいな妙な説得力があるな」
「ほんまな。俺もそれ飲みたい〜！1口！1口ちょーだい！」
人差し指を立てて若干上目遣いで言う鬱先生。
「えー、どうしよっかなぁ？」
そんな彼に意地悪したくなり、わざとらしくグラスを回してまた1口、口に含む。やはり美味しい。美味。
「ええなぁ、俺も飲みたい」
お友達さんも自分の手元のボトルを見ながら言う。
「あっ、お友達さんは飲んでいいですよー！」
はい、どうぞ！と自分の手元のグラスを渡す。
「ちょっ、そんなん渡さんでもグラス出したるやん！」
やり取りを見た店長さんはそう言いながら棚からロックグラスを取り出し氷を入れようとしてくれる。
「あ、ゾムさん別に出さんでええっすよ。俺はコレ頂くんで！」
お友達さんは私の手からグラスをひったくるように奪いひと口、口に含んだ。
それを見た鬱先生がお友達さんを指差す。
「あーっ！こんにゃろー！やりやがったな！お前だけずるいぞ！」
「え？ずるいのはどっちっすかー？あ、焼酎めっちゃ美味かったっす！ゾムさん、それと同じボトルを俺の名前でキープしといてください」
そう言うとお友達さんは立ち上がり私の後ろに立った。
「ご馳走様でした。Aさん、また会いましょ」
コトっと音を立ててグラスを私の前に置き、ドアの方へ向かっていった。
「えっ？ちょっとー！お客さーん？うち無銭飲食お断りよー？って……まだ何も食ってないやん！」
彼の席を確認した店長さんが言うとお友達さんはくるっと振り返った。
「気が変わったんで今日は帰ります。ボトルは鬱先生にツケといてください！」
「はあ？ちょっ、お前！なんでやねん！」
ふふっと笑い声が小さく聞こえただけで鬱先生の声は虚しく響くだけだった。
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くゆる(プロフ) - すずらんさん» すずらんさん、こんにちは。コメントとTwitterもフォロー頂けて嬉しいです。応援して頂けるとやる気に繋がります！これからも読んで頂けると嬉しいです。よろしくお願いします！ (2020年2月11日 15時) (
レス) id: f8c0fb5fa1 (このIDを非表示/違反報告)
くゆる(プロフ) - 紅茶さん» 紅茶さん、遅くなってすみません。ありがとうございます。お言葉に甘えて無理せず更新しすぎてコメントすらも遅れてしまいました。ごめんなさい！相変わらずのんびりになるとは思いますがこれからも読んで下さると嬉しいです。よろしくお願いします。 (2020年2月11日 15時) (レス) id: f8c0fb5fa1 (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - おはようございます、更新お疲れ様です。いつもとても楽しみにしております！応援させてください！ (2020年2月9日 6時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶 - 大好きです!!!!更新無理せず頑張ってください!!!応援してます！ (2020年1月5日 21時) (レス) id: 203f8de236 (このIDを非表示/違反報告)
くゆる(プロフ) - ゆきなさん» ゆきなさん、明けましておめでとうございます。遅くなりすみません。オコメチャンきっと感無量です！イケメンかな？ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。 (2020年1月5日 1時) (レス) id: f8c0fb5fa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くゆる | 作成日時：2019年10月28日 22時
