5＋1 その3

太陽さんの誕生日 ページ38

【jesee side】



こーちの力って偉大だなと思う。
それと同時に、俺は絶対に遠距離は無理だなぁ…と思う。



6月も半ばに差し掛かるところ。
こーちは暫く外部で長期の仕事になるため、朝早くから家を出ていった。



俺も間もなく大きな仕事があるから寂しがってもいられないのだけれど、
こういう忙しい時こそ、彼の笑顔を少しでも見られたら元気が出るのにな、なんて考えてしまう。



おはよう、行ってくるね。
ジェシーも頑張って。



朝。眠そうな顔をふわりと綻ばせた彼の笑顔を思い描く。
今はお昼の12時を回る頃。
もうつく頃だよな。
…連絡してみようか。いや、集中してるところを邪魔したら悪いかな。



にらめっこしていた台本を一旦閉じて携帯を開くと、とんでもない数の通知が届いていた。




「え…なに？」




驚いてアプリを起動させると、そこにはたくさんのおめでとうの文字。

……あぁ、すっかり忘れてた。

俺、今日誕生日か。


昨日から色々シャットアウトして仕事の準備に取り掛かっていたから、朝早くから送ってくれた人のメッセージも溜めてしまっていた。


温かいメッセージを一つ一つ丁寧に読んで返信しているうち、固まった気持ちが少しずつ解れていく。


また頑張ろう。

最後の一人に返信し終えてトーク画面を閉じると
ピン留めしている1番上の彼とは、今日は未だに1度もやり取りをしていないことに気づいた。


そろそろ着いた？と文字を打ちかけて、ぱたぱたとその文字を消す。だめだめ。我慢しなさい。

…誕生日なのに連絡が無いのは、少し寂しいけど。



・

次ページ→←前ページ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す