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第1章 不死鳥と呼ばれる少女 9 ページ10

「私の別名を知っている?」

アージェはその問いかけに首を振った。

美香はその様子に笑った。

「情報に疎いのね。だから私が武器を持っていると思ったのね・・・」

美香は先ほどのことを思い出していた。

そして、冷たく笑った。

「炎を操る化け物『不死鳥』。人は私をそう呼ぶわ。」

美香の表情にアージェは胸を痛めた。

それでもやはり、かける言葉は出ない。

「私の手にしたブレイクはどうやら欠陥品だったらしいわ。そのおかげで、ディザイアなんて生まれるのは私だけだと思っていたのだけど・・・。」

美香はポケットからブレイクを取り出した。

アージェは触るなと制されたそれを美香が持っていることに驚いていた。

「ディザイアは所持者が欲望にまみれた時、その欲望を吸収し欲望を満たすために行き過ぎた行動に出る化け物を産む。そして、姉が生み出したディザイアは・・・」

美香の体はたくさんの炎をまとう。

そして、そこから女性が現れた。

「ディザイアに生み出されたこの体を存在させ続けるために、私の中で私と共存しているのよ。姉の願いが永遠に私と生き続けることだったためにね」

この二人のやり取りを本部で見ていた万姫はぼそっとつぶやいた。

「死ねない・・。それは人間には自分を傷つけることはできても・・壊すことはできないという意味・・・。」

その言葉を隣で聴いていた誠人が口を挟んだ。

「美香の体は基本的に人間と変わらない。体温が異常に低く、姿が変わらない、心臓がない、そして・・傷の癒えが以上に早いということ以外は・・・ね」

それはあまりにも大事なことだった。

人が人であるために心臓は必要。

体温も必要。

そして、老いることさえも必要となってくる。

不死鳥と呼ばれる少女、鳳美香。

彼女は回りに化け物と呼ばれる以前に・・・

誰よりも自分を化け物だと思い、苦しんでいるのだった。

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作者名:鳳かおる | 作者ホームページ:http://vanpaiatatinoohimesama.web.fc2.com/  
作成日時:2014年6月10日 15時

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