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ハーナウにて 2 ページ38

「ここら辺で合ってるはず…」

「主は本日も麗しいですね」

「師匠たちに鉢合わせしなきゃいいけど…」

「主の艷めく御髪…」

「アーサー!!」

私は隣でずっと笑っている変質者に声をかけた。

「如何致しましたか、主」

「さっきから一体どうしたの…」

「どうしたも何も…
主とこうやって二人で歩くのがいつぶりかと、
感銘を受けておりました」

つつ、と涙を流している。口を抑えて、ううっ、と
ハンカチで涙を拭った。

「貴方、本当に変わってる…」

「主のお側なら私はどうであろうと幸せです」

このまま道なりだと言うので、そのまま歩いていくことにした。

彼の顔は、綺麗だ。

透き通るような緑色の目と、光にきらきらと反射する金色の髪。

世にいう「整った顔立ち」とは、
こういう顔を指すのだろうな、と思う。

彼は…アーサーは、
私より年下だけれど、私よりずっとしっかりしていて、強くて、盗みのセンスもある。

だからだろう。


しもべであるカークランド家のアーサーが、
主である私の家に下克上しようと考えている、

という噂が流れているのは。

そう思われても仕方ない。

私はアーサーより劣っているのだから。

そもそも、
17歳の師匠が11歳の私に盗みを教えていた時、師匠はちょうど9歳のアーサーの世話もしていた。

あの時は、幼馴染で、友達くらいの感覚だった。

私たちの家の母親は、私たちが幼少の頃に病死してしまった。
貴族としての執務をこなすため、
私の父も、父に仕えているアーサーの父も多忙だ。

そんな似たような境遇で育ったのに、
いつからこんな主従関係のように___


「主」

「…」

「A様!」

「っ!」

「如何なさいましたか?お身体の調子が優れないのでしたら__」

心配そうに私の額に手を当てる。

そして、自身の額を、こつん、と。

「あっ、あの、アーサー、人前だからっ…」

「?お顔が赤いようですが…」

ああああもう!
わかってやってるのかやってないのか!


「…大丈夫か?」


騒ぐ私たちの前に現れたのは…


「ああ、ここ、住所のところのようですね。
お名前をお伺いしても宜しいですか?」



「ルードヴィッヒだ。
もしや、お前たちがビアンカと…アドルフか?」

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奏理奈(プロフ) - 元気そうで良かったです(*^^*)次の更新を楽しみにしてます! (2017年12月29日 18時) (レス) id: ea9afaeba3 (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - 奏理奈さん» ありがとうございます!忙しいのですがなんとか時間を作って来れています(っ´ω`c)コメントありがとうございます〜! 奏理奈さまもお体に気をつけてくださいませ〜(*´`) (2017年12月29日 0時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
奏理奈(プロフ) - 最近更新早いですね!嬉しいけどお身体にきおつけてください(*^^*)ここで止められると続きめっちゃ気になります! (2017年12月28日 18時) (レス) id: ea9afaeba3 (このIDを非表示/違反報告)
奏理奈(プロフ) - 久しぶりにアーサーメインですね!ルート導入による先のてんかいが楽しみです!更新頑張ってください(*^^*) (2017年12月27日 20時) (レス) id: ea9afaeba3 (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - めりかなさん» アーサー「おかえりなさいませ、主。こんな時間まで夜更かしして…私と過ごすのを待っていたのですか?ああ、プレゼントはいつもの3倍の賃金で結構ですよ。二人きりで、良いクリスマスにしましょうね?」 (2017年12月25日 0時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hometotop/  
作成日時:2017年10月3日 0時

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