第37話 撒く ページ37
.
豪炎寺くんに手を引かれて、神社の裏手まで来た。
壁に寄りかかってナンパ男たちから隠れつつ、息を整える。
信じられないくらいドキドキしているのは、きっと走ったからだけじゃない。
ここが薄暗くてよかった。
私の頬が赤いのも、豪炎寺くんからは見えないはず。
パタパタと手で煽いでも、一向に熱は引かないし、むしろ触れている指先から熱くなっていく一方だ。
「もう、大丈夫そうだな」
ナンパ男たちが揉めながら去っていく声が聞こえて、豪炎寺くんがやっと声を出した。
「ありがとう。豪炎寺くんが来てくれたおかげで、助かった」
笑いかけると、豪炎寺くんが『まさか、Aがナンパされるとはな』って、笑いながら私の髪を撫でた。
ちょっとだけバカにしたような口調なのに、撫でる手つきは切ないくらい優しくて。
胸が高鳴った。
勘違いしてしまいそうだ。
豪炎寺くんも私のことを好いてくれてればいいのに。
そんなことを思って、また胸が苦しくなった。
「俺がさっきの奴らだったとしても、Aのことナンパしただろうな」
「何で？簡単にお金取れそうだから？」
すると、豪炎寺くんは『違う』と、少し笑った。
「じゃあ、何？」
「……Aだから」
そう言って、私の頭の上に右手を乗せた。
その瞬間、ありえないくらい顔が熱くなるのが、自分でもわかった。
何それ……。
自惚れていいの？
ねぇ、豪炎寺くん。
これって、そういうふうに受け取っていいってこと？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
pomme(プロフ) - 豪炎寺修也推しさん» いつもありがとうございます！ゆるゆる頑張ります（＾ｖ＾） (2020年4月24日 23時) (
レス) id: d65527bd76 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 真っ赤な空の下でから来ました。ここまで読んだだけでわくわくどきどきが止まりません！pommeさんのペースで頑張って下さい！ (2020年4月24日 20時) (レス) id: e2e58e1092 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：pomme | 作成日時：2020年4月19日 10時
