第72話 キミの瞳に ページ23
◇
影山の目を盗んでAちゃんと会うことくらい、造作もなかった。
アイツのことだ。どうせ他のヤツには付き合ってるとか言ってないんだろう。
『パツ金じゃない方の１年の子ってどこにいんの？』
アホな顔してそう尋ねると、すぐに教えてくれた。
『久しぶり』と、片手を上げてみせると、Aちゃんは大袈裟に目を瞬かせた。
そして、キョロキョロと窓の外、体育館の方に目を走らせた。
……なるほど。
俺に注意しろとか、言われてんのかな？
影山にとっちゃ、こういう俺の行動も織り込み済みってわけね。
はいはい、クソムカつく。
涼しい顔して独占欲ヤバいのな、影山って。
歪みそうになる表情を整えて、なるべく優しく見えるように表情筋を正しく動かす。
「何してんの？」
「ドリンクの準備、頼まれてて…。黒尾さんは、何でここに……？」
Aちゃんはそう言って、シンクの中を見下ろした。
それから、訝しげな目で少し上目遣いに、俺を見つめた。
．
“はじめまして”は一週間前。
何となく烏野の様子を見ていたとき、申し訳なさそうに話しかけてくれたっけ。
あの時のキミの、控えめで、だけど明るい笑い声が、やけに心地よかったことを覚えている。
それと、まるで熱に浮かされたように、コートを見つめるあの目。
ああ、こんな表情で、プレー見てくれる子がいるって、烏野は幸せもんだよなぁと、恥ずかし気もなく思ったりなんかした。
久しぶりに感じた、胸の疼き。
切ないような、それでいて甘いような微かな鼓動が、懐かしかった。
ウケる。
俺、まだこんな気持ち持てんだな。
そのとき、キミには好きな人がいて、そしてキミは、その人を熱心に見つめていたなんて、考えもしない俺は、呑気にそんなことを考えていた。
で、その後、まんまと2人の関係の確かな証拠を見せつけられてさ。
影山にはガン飛ばされるし、Aちゃんには怖がられるし。
何？この落差。感情ジェットコースター並みなんだけど。
とは思いつつ、諦められないのが俺の性ってやつだ。
嫌になるねぇ。
大した望みも無ぇのに。
でもさ、ちょっとくらい、振り回すことくらい、許してくんないかな？
だからさ、Aちゃん。
そんな目で俺を見ないでよ。
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pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜！！🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (
レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます！！！黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう！もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜！ (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう！好き！コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に！愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます！ (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます！！！嬉しすぎて、もう泣いちゃう！！素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pomme | 作成日時：2022年1月20日 23時
